2大航空会社の一つで、国内航空最大手。2015年度に国際線旅客数でJALを抜き、国内線、国際線とも首位にたちました。
1952年に日本ヘリコプター輸送として始動し、1986年に国際定期便に進出。1999年に航空連合スターアライアンスに加盟し、日米路線でユナイテッド航空と、日欧路線でルフトハンザグループと共同運航を始めました。そして2013年4月にホールディングス化をし、2019年には傘下に抱える格安航空会社(LCC)のバニラ・エアとピーチ・アビエーションが事業統合しました。
今回はこの「全日本空輸(ANA)」の収入という観点に迫ります。
有価証券報告書に記載されている平均年収・平均年齢から、当メディア独自の算出により生涯賃金も割り出しています。
新卒採用の難易度、転職採用の難易度、そして学歴フィルター情報も参考にしてください。
1.全日本空輸(ANA)の平均年収は564万円
2021年の全日本空輸(ANA)の年収の平均は564万円(有価証券報告書調べ)となっています。従業員数は15,078人、平均年齢45.2歳です。ただしこれは一般職を含めた平均年収。当メディアの独自調査結果によりますと、総合職のみの平均年収は推定540~780万円程度と予測されます。
(1) 全日本空輸(ANA)の平均年収 推移(2010年から)
平均年収 | 全日本空輸(ANA) | 業界の平均 | 上場企業平均 | ||||||||||||||||||||||||||||
2010年 | 728万円 | 728万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
2011年 | 752万円 | 752万円 | 563万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2012年 | 767万円 | 628万円 | 570万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2013年 | 739万円 | 647万円 | 571万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2014年 | 685万円 | 638万円 | 577万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2015年 | 790万円 | 703万円 | 588万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2016年 | 854万円 | 729万円 | 594万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2017年 | 818万円 | 764万円 | 598万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2018年 | 762万円 | 743万円 | 605万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2019年 | 777万円 | 735万円 | 612万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2020年 | 737万円 | 725万円 | 614万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2021年 | 564万円 | 581万円 | 603万円 |
全日本空輸(ANA)では2010年から2021年の12年間での平均年収の上昇額は-165万円(77%)となっています。
2020年まではそこまで大きな増減はありませんでしたが、2021年はコロナの影響で平均年収は前年度より173万円下がりました。
空運業界の同じ12年間の上昇平均は-148万円(80%)、上場企業の平均では11年間で40万円(107%)です。
新型コロナウイルスの世界的な大流行はさまざまな業界に打撃を与えましたが、特に影響が大きかったのが航空業界です。
全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)の2大キャリアの国際線は、フライトが2019年と比べて9割以上も減少しました。国内線は「GoToトラベル」でわずかに回復しましたが、その後も緊急事態宣言が続き、更なる需要減に直面しました。
21年3月期の連結決算では、ANAホールディングスが最終損失4046億円、日本航空(JAL)が2866億円といずれも巨額の最終赤字を計上しています。
また、インバウンド(訪日外国人)需要や東京五輪・パラリンピック開催における収益も期待通りには伸びず未曾有の危機に瀕しました。
ただ、両社とも2020年度内に数千億規模の公募増資に踏み切り、財務の大幅な悪化は回避しています。
そして給与やボーナスのカットはしても専門性が高く貴重な人材であるパイロットや客室乗務員、整備員等の人員削減は行わない方針を示し、航空事業で効率化を図るとともに、非航空事業としてプラットフォームビジネスや非稼働の航空機を使った遊覧飛行や機内レストランなどといった新事業にも積極的に取り組んでいます。
(2) 全日本空輸(ANA)の生涯賃金 推移(2010年から)
生涯賃金 | 全日本空輸(ANA) | 上場企業の平均 | 上場平均との差額 | ||||||||||||||||||||||||||||
2010年 | 2億8282万円 | - | |||||||||||||||||||||||||||||
2011年 | 2億9198万円 | 2億2450万円 | 6748万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2012年 | 2億9788万円 | 2億2729万円 | 7059万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2013年 | 2億8913万円 | 2億2939万円 | 5974万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2014年 | 2億6793万円 | 2億3185万円 | 3607万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2015年 | 3億0893万円 | 2億3631万円 | 7262万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2016年 | 3億3397万円 | 2億3897万円 | 9500万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2017年 | 3億2020万円 | 2億4046万円 | 7974万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2018年 | 2億9798万円 | 2億4320万円 | 5477万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2019年 | 3億0384万円 | 2億4610万円 | 5775万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2020年 | 2億8596万円 | 2億4481万円 | 4116万円 | ||||||||||||||||||||||||||||
2021年 | 2億1887万円 | 2億3421万円 | -1534万円 |
全日本空輸(ANA)に新卒入社をしてから60歳まで勤務をした場合
2億1,887万円の収入を得る事ができます。
日本の上場企業の生涯賃金との差額は、2021年時点でー1,534万円。
おおよそ日本の平均と同じくらいの生活をおくれるといえます。
(3) 全日本空輸(ANA)の平均年収を業界と比較
業界プレイヤー | 平均年収 | 生涯賃金 | |||||||||||||||||||||||||||||
日本航空(JAL) | 678万円 | 2億6340万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
全日本空輸(ANA) | 564万円 | 2億1887万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
スターフライヤー | 500万円 | 1億9414万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
上場平均 | 603万円 | 2億3421万円 |
今回は、上場している空運会社3社(日本航空、全日本空輸、スターフライヤー)の平均と、全日本空輸(ANA)の年収推移を比較しました。
結論、全日本空輸(ANA)は業界平均の0.97倍、上場企業の平均年収と比べると約0.93倍の収入となっています。
(4) 全日本空輸(ANA)の年収カースト
全日本空輸(ANA)の平均年収は564万円なので、カーストは“都市部だと貧困”です。
東京商工リサーチが日本の上場企業1841社を調査した所、平均年収500万円台の企業は523社で、2番目に多く、上場企業の中では平均より少しだけ低い年収といえます。
2.全日本空輸(ANA)の給与制度/年収推移
2021年の全日本空輸(ANA)の年収の平均は564万円(有価証券報告書調べ)となっています。従業員数は15,078人、平均年齢45.2歳です。ただしこれは一般職を含めた平均年収。当メディアの独自調査結果によりますと、総合職のみの平均年収は推定540~780万円程度と予測されます。
(1) 全日本空輸(ANA)の勤続状況の推移
年 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | |||||||||||||||||||||||||||||
2010年 | 38.3歳 | 12.7年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2011年 | 38.6歳 | 12.7年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2012年 | 38.3歳 | 12.5年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2013年 | 38.0歳 | 12.2年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2014年 | 46.1歳 | 1.0年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2015年 | 47.1歳 | 1.6年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2016年 | 48.4歳 | 2.0年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2017年 | 47.2歳 | 2.6年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2018年 | 46.2歳 | 2.7年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2019年 | 45.5歳 | 3.4年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2020年 | 45.8歳 | 3.6年 | |||||||||||||||||||||||||||||
2021年 | 45.2歳 | 3.9年 |
全日本空輸(ANA)の平均年齢、平均勤続年数は2013年を境に大きく変化しています。
これは2013年4月にホールディングス化したことによります。(有価証券報告書を参考にデータを取得しているため、2014年からはANAホールディングスのデータとなります。)
調査をしたところ、2021年の全日本空輸(ANA)の平均年齢は38.0歳、平均勤続年数は13.6年となっています。
これまでの終身雇用型企業の平均年齢が42歳前後 平均勤続年数は18-19年です。
全日本空輸(ANA)もほぼこれに当てはまります。
ただ、日本型企業の最大の特性でもあった「終身雇用」が揺らぎ始めている現在、今後も「終身雇用」が続けられるのかは各企業の努力によります。
(2) 全日本空輸(ANA)の年齢別の年収推移
平均年収から年齢別の推定年収を算出しました。
年齢 | 全日本空輸(ANA)の推定年収 | 上場企業の平均年収 | |||||||||||||||||||||||||||||
25歳 | 297万円 | 406万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
30歳 | 403万円 | 509万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
35歳 | 509万円 | 572万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
40歳 | 615万円 | 621万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
45歳 | 668万円 | 647万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
50歳 | 721万円 | 739万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
55歳 | 774万円 | 808万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
60歳 | 699万円 | 730万円 |
全日本空輸(ANA)の給与制度は、初任給がグローバルスタッフ職(事務・技術)は大卒で218,557円、客室乗務職は大卒で180,319円、運航乗務職(自社養成パイロット)は大卒で219,444円ですので、初年度は250-360万円ですが、最大年収を迎える50代の年収は700~900万円になります。
日本の上場企業の平均年収との比較するとその差は
25歳 -109万円
30歳 ー106万円
35歳 ー63万円
40歳 -6万円
45歳 +21万円
50歳 -18万円
55歳 -34万円
60歳 ー31万円
となり、全日本空輸(ANA)は日本の上場企業の平均より少し低い年収となっています。
※一般的には役職定年が55-58歳になります。
55-58歳になると年収が25%ダウンする企業もありますが部長級以上だと、その限りではありません。
また親会社の場合、子会社への“転籍”を促されますが、転籍の場合は年収が30%ダウンします。
当メディアは順調に昇給・昇格した場合の推定値を算出しております。
次は役職ごとの年収をご覧ください。
(3) 全日本空輸(ANA)の役職別の年収推移
役職 | 年齢 | 推定年収 | |||||||||||||||||||||||||||||
役職なし | 23歳〜27歳 | 300万円~600万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
主任 | 28歳〜 | 620万円〜750万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
係長 | 32歳〜 | 760万円〜900万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
課長 | 37歳〜 | 940万円〜1,180万円 | |||||||||||||||||||||||||||||
部長 | 45歳〜 | 1,200万円〜1,300万円 |
(openworkのデータを参考に編集部作成)
等級に応じた給与体制ですが、基本的には年功序列で、入社5年目まではあまり昇給はありません。*
普通にやっていれば順調に職位が上がっていきますが、よっぽど良い成果を上げない限り基本的に横並びの評価になります。*
(*はopenworkに寄せられた社員口コミを参考に編集部作成)
(4) 全日本空輸(ANA)の平均年収の口コミ情報
20代客室乗務員
評価制度: 決められたペースで遅れることなく習熟することが基本。育成プログラム通りに進んでいくので、基本的にみな同じ評価をされる。
月給 | 残業 | 賞与 | 年収 | ||||||||||||||||||||||||||||
17万円 | 3万円 | 12万円 | 287万円 |
20代総合職
評価制度: 評価方法は細かく定められていて、きちんと見てくれる。しかし同期の中で差がつくのは入社10〜20年程経った後であり、かつ大きな差は付かないため、モチベーションの向上には繋がらない。典型的な年功序列なので、入社数年の若手から見ても明らかに仕事ができない、しておらずとも年収1000万円以上貰っている年寄りもいる。
月給 | 残業 | 賞与 | 年収 | ||||||||||||||||||||||||||||
28万円 | - | 64万円 | 400万円 |
30代総合職
評価制度: 表向きは成果主義による絶対評価を掲げているが、評価は不透明で必ずしも優秀な人が評価されるとは限らない。評価に対するフィードバックがないことも多い。また、組合活動に従事した人の評価を高くする傾向があり極めて不平等といえる。
月給 | 残業 | 賞与 | 年収 | ||||||||||||||||||||||||||||
30万円 | 40万円 | 400万円 |
30代客室乗務員
評価制度: よっぽどなことがない限り、毎年7月に前年度のFB面談がありそれによって昇給する。3000円ほど。同期の間で順位がつくようなことはなく、みなが同じペースでの習熟、昇進が求められる。
月給 | 残業 | 賞与 | 年収 | ||||||||||||||||||||||||||||
30万円 | - | 100万円 | 460万円 |
30代技術職
評価制度: 1年に1度人事評価が行われる。この評価が実力より年功序列的な要素が強く、どれだけ成果を上げて周囲に認められても、その成果が給与面に正しく反映されない。社員の中でも、実力がなくても年齢が高いだけで給与が高い人が多く存在しており、バリバリ働ける若手社員からすると不平等感が大きく感じられる。
月給 | 残業 | 賞与 | 年収 | ||||||||||||||||||||||||||||
29万円 | 3万円 | 174万円 | 650万円 |
40代総合職
評価制度: 年間の目標に対する達成度の評価が行われる。
月給 | 残業 | 賞与 | 年収 | ||||||||||||||||||||||||||||
50万円 | - | 100万円 | 750万円 |
50代パイロット・機長
評価制度: 形だけの評価制度があるが、地上職一般に適用されるような評価制度の導入は難しい。 長期病欠で欠勤が発生したり、審査不合格やインシデント等で長期飛行停止になった場合には人事考課で減給となる。
月給 | 残業 | 賞与 | 年収 | ||||||||||||||||||||||||||||
225万円 | - | - | 2700万円 |
(5) 全日本空輸(ANA)の福利厚生/待遇
全日本空輸(ANA))の福利厚生についてご紹介します。
就職・転職する時に求人票の情報だけでは、意思決定する時に情報が不足します。
実際に全日本空輸(ANA)での勤務経験のある社員や元社員の方の福利厚生に関する口コミ情報も併せて紹介します。
2021年 新卒採用の募集要項
手当 | ■運航乗務職(自社養成パイロット) 家族手当、住宅手当など ■客室乗務職 家族手当、住宅手当、深夜労働手当、土日出勤手当、乗務手当、職務手当など ■グローバルスタッフ職(事務・技術) 家族手当、住宅手当など |
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休日・休暇 | ■運航乗務職(自社養成パイロット) 月間10日間程度。年次有給休暇・特別休暇など ■客室乗務職 月間10日程度(年間126日)。年次有給休暇、リフレッシュ休暇、懐妊・育児休職など、各種休暇・休職制度あり ■グローバルスタッフ職(事務・技術) 土・日・祝日・年末年始(年間121日)、年次有給休暇・夏季特別休暇など |
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保険 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険 | ||||||||||||||||||||||||||||||
福利厚生・諸制度 | 共済会、社員持株会、財形貯蓄制度、団体保険、 育児・介護休業制度、短時間勤務制度、 寮・社宅、定期健康診断、搭乗優待制度、ファミリーツアー、ニッポンレンタカー割引制度、各種見舞金制度、資格取得支援制度、各種研修制度、カフェテリアプラン、保養所 |
上記のほかにもワークライフバランス支援制度として育児・介護・働き方・活躍支援について様々な制度を設け、働きやすい環境整備に取り組んでいるようです。
20代女性
20代男性
オフィス環境: オフィス環境は比較的整っているが、オフィス環境を整えるのであれば給与を上げて欲しい。
30代女性
30代男性
40代男性
オフィス環境: 環境は良いと考える。空港での勤務が多くなるが、普段の仕事において、コーヒーを飲んだり、トイレも行けたり、あとは外国人もたくさんいる。
(en Lighthouseに寄せられた社員口コミを参考に編集部作成)