転職ノウハウ

転職の回数は平均でどのくらい?多すぎるとイメージは悪くなるか

転職の回数は平均でどのくらい?多すぎるとイメージは悪くなるか

 

転職経験を持つ人は増加傾向にあり、2019年には過去最高となりました。

一般的に言われるところの「人手不足」を背景に、企業としても転職者を受け入れたいと考えているところは多いです。

 

転職のきっかけやタイミングは人それぞれですが、転職を重ねる人は何回くらいの転職経験があるのでしょうか。また、転職回数が多すぎるとイメージは悪くなるか?について考えてみたいと思います。

 

 

 

1.増加する転職経験者、その回数は

 

 

総務省によると、2019年に転職した人の数は351万人で、比較可能な2002年以降では過去最多になりました(図1)。

転職者数の推移

図1 転職者数の推移(出典:「増加傾向が続く転職者の状況」総務省統計局)

 

 

図からわかるように、日本の転職市場は、ずっと右肩上がりではありません。2008年に起こったのリーマンショックの影響でがありましたが、それを除くと2000年初頭から年間300~350万人しか転職をしていないのです。

続いて、年齢別の割合をご覧ください。

 

 

転職者数の年齢別割合の推移

図2 転職者数の年齢別割合の推移(出典:「増加傾向が続く転職者の状況」総務省統計局)

 

 

おそらくイメージ通りかと思いますが、20代前半の第二新卒世代、30代中盤までの若手が中心です。

また、前職を離職した理由については、このようになっています(図2)。

 

 

転職者数の前職離職理由

図3 転職者数の前職離職理由(出典:「増加傾向が続く転職者の状況」総務省統計局)

 

 

さて、20代~30代の若い人の転職が多いことは想像に難くありません。また、より良い条件を求めて転職の踏み切る人が多いのも頷けるところです。

では、転職回数についてはどのようになっているでしょうか。

 

 

年齢別初職から離職回数割合

図4 年齢別初職から離職回数割合(出典:「平成26年版 労働経済の分析」厚生労働省)

 

 

男性の場合、離職回数ゼロという人が多いですが、「離職2回以上で現在有業」(緑色)という人の割合が20歳代後半増えています。転職組ではむしろ「1回」という人の方が少ない状況です。

 

女性の場合、転職者はもっと多くなっています。これは、結婚・出産を機に一度会社を辞め、その後育児と両立しやすい非正規の短時間などの働き方に移行するためだと考えられます。

 

いずれにせよ、少なくとも2回程度の転職は、そう珍しいことではありません。

 

 

 

2.転職回数が多すぎるとマイナスになる?

 

 

あまりに転職回数が多すぎると、企業からマイナスに捉えられることを心配する人もいるでしょう。

中途採用の場においては再現性と定着性という大きな2つのポイントがあります。

 

中途採用の判断ポイント

1.「アピール通りのパフォーマンスの再現性」
2.「長期的に根付いて働いてもらうための定着性」

 

特に終身雇用を進めてきた日本社会では「組織への帰属意識」を重要視する企業も多いのが現状です。

 

実際のところ、「何回めの転職以上になると採用者が気にするか」というのは、マニュアルがあるわけではなく、採用担当者の「感覚」によりますし、当然応募者自身の人柄やスキルによります。即戦力になりそうな人やスキルを持つ人は欲しいけど、長く居てくれるのか。この間で悩む企業が増えています。

 

その「感覚」を掴むのにわかりやすいデータがあります。

 

日本企業がアジアに構える支社などの現地採用担当者は、外国人が「ころころ転職する」ことに頭を抱えているそうです。

 

しかし、アジア諸国の中では30代での転職回数の各国比較はこのようになっています(図5)。

 

転職回数の分布

図5 転職回数の分布(出典:「転職が得になる国、ならない国」内閣府)

 

 

特段日本人の転職や回数が他に比べて少ないわけではありません。

 

ここには、「初職継続期間」が関係しています。

30代で見ると、「初職継続3年未満」で転職した人の数は、このようになっています(図6)。

 

初職継続期間

図6 初職継続期間(出典:「転職が得になる国、ならない国」内閣府)

 

 

日本人の場合「初職を3年未満で辞める人」が少ない傾向にあることがわかります。

30代男性では32%、女性では40%です。

 

これに比べて、インドネシアやマレーシア、タイでは3年未満で辞める人の割合は日本よりはるかに高くなっています。

こうした一部の層が「外国人はころころ転職する」というイメージを与えています。

 

何れにせよ、このデータが「3年」という単位で紹介されていることからしても、日本には「3年」という心理的な区切りのようなものがありそうです。

なんとなく3年経たずに転職を繰り返すと「ころころ転職」というように捉えられ「長続きしないのではないか」という印象を与えてしまう可能性はありそうです。

 

 

 

3.「転職回数気にしない」企業が存在する理由

 

 

それまでの転職回数は、企業としてはある程度気にはなるものの、一方で「採用に当たって転職回数は気にしない」という企業もわずかながら存在しています。

 

ただ気をつけなければならないのは、この場合は

「初職はこんな仕事でこれを学んだ、そしてこんな理由で転職をした」

「学んだことを次の会社ではこのように活かしてきた、そしてこんな理由で転職をする」

「なぜ転職先としてこの企業を選んだのか」

ということに関して、一貫した合理性を持って説明できることが前提だということです。

 

また、「前職ではスキルを活かせなかった」というのもよくある転職理由ですが、それだけを伝えられても困ってしまいます。

「じゃあ、あなたは自分のスキルを活かすためにどのような努力や働きかけをしたのか?」と聴きたくなってしまうからです。

働きかけをすることもなく一方的に「この会社にいてはダメだな」という理由で前職を辞めたい、というのはなんだか受け身にしか映らず、この会社に来ても同じ理由ですぐいなくなってしまうだろうということは想像に難くありません。

 

人手不足だからといっても、いや、むしろ人手不足だからこそ、企業は能動的に働ける人を求めています。

大切なのは転職の「回数」というよりは、その理由の方です。どこまでやってきたか、そして自分は転職までの間にどんなスキルを得て、しかしそれがなぜ活かせなかったのか、といった「筋の通った」理由を説明できるかどうかです。

 

「ハズレ会社に入っちゃたみたいだからさっさと出て行こう」という感覚は、今の労働市場のなかにあっても、案外相手にされないと考えた方が良いでしょう。

 

 

 

4.まとめ

 

新卒一括採用で十分な人数を確保できなかった中小企業などの場合、「専門性はさほどなくても、社会経験のあるひとが欲しい」という理由で積極的な中途採用に踏み切るところが増えているのは現状として存在しています。

 

しかし「誰でもいい」わけではないから、人手不足を解消できないというのも事実です。

 

また、最近、「社内出世よりも社会出世」と言われるようになりました。一つの企業で地位を上げていくよりも、一つの企業内で複数部署にまたがる経緯と知識を持ち、社内ではなく社会から見たときの自分の市場価値を上げるというものです。

 

例えば技術に詳しくて最初の職業についた後、技術だけでなくそれに関係する営業や経理の管理、といった付随する多部署の仕事についても詳しくなるというキャリア形成方法です。

 

この手法が良いのは、「オンリーワン」のキャリアを持つ人材になれるという点です。

転職するからには、こうして雪だるま式に自分のキャリアを積んでいき、様々な企業風土を知っていく。

 

こうした具体性と計画性のある転職者ならば、企業としては戦力になって欲しいと考えることでしょう。

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面接官のホンネ 管理人

アラフォーの管理職。12歳と10歳の娘がいます。 新卒・中途採用に10年以上携わり、安定を手にするために私自身も財閥系企業に転職しました。次世代に知識と経験の継承を目的として「リアルな現場の声」をテーマに、“面接官のホンネ”を立ち上げました。わかりやすく、人事/採用の担当としての本音をお届けします。

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