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大企業からベンチャー企業への転職 失敗しないために事前に知っておきたい実体とは? (3)

大企業からベンチャー企業へ転職したい方にとって、ベンチャー企業は何とも未知の世界に見えるのではないでしょうか。

 

知らない分、不安が募ることもあるでしょう。実際、“ベンチャー企業と大企業の違い”を知らないままに転職して、「こんなはずじゃなかった!」と失望し、すぐに大企業へと舞い戻っていく方もいます。

 

ただ、事前に知っておけば、驚きもしないし失望しないことも多いのです。そこで本稿では、ベンチャー企業の実体をご紹介したいと思います。

 

1.大企業に勤める人が知らないベンチャー企業の実体

 

ベンチャー企業の特徴はさまざまありますが、ここでは特に「大企業から来た人が驚きやすいこと」に特化して、8つの特徴をご紹介します。

 

①. 細かい雑用まで自分でやる

大企業からベンチャー企業に転職した人からよく聞く声が、「こんなことまで私がやるの?!」という驚きです。まだ人数の少ない企業では、労働集約型の個人商店での企業運営が主になりやすく、人=労働力ですのでハードワークになりやすい環境にあります。

 

例えば、

  • アシスタントのスタッフがやってくれていたこと
  • 外部の企業に外注していたこと
  • 有償のシステムやソフトウェアを導入していたこと

など、細かい雑用も含めて、自分で手を動かすことが多くなります。

 

細かい雑用まで自分でやる

細かい雑用まで自分でやる必要があります。

 

仕組で業務フローが成り立っているのではなく、個人のスキルで業務フローを成り立たせるのです。

自分が関わる業務のすべてを、自分ひとりでこなすイメージです。

 

②スピード感が異様に速い

多くのベンチャー企業には、「スピード感」でアドバンテージを取ろうとする特性があります。

そのスピード感が、ときに「異常」と思えるほど速いケースもあることは、あらかじめ知っておいた方が良いでしょう。

 

例えば、「1週間、2週間」という単位ではなく、「1日、2日」、場合によっては「1時間、2時間」という単位で動いていたりします。

 

スピード感が異様に速い

スピード感が異様に速い

 

“速いスピード感についていけない”というよりは、「そんなタイトスケジュールでは危険すぎる」という意味で、戸惑いを覚える人も少なくありません。

 

③裁量権は無限ではない

大企業からベンチャー企業へ転職する際の面接では、多くの人が転職理由として以下を挙げます。

  • もっと大きな裁量権で仕事がしたい
  • ビジネスの全体に関わりたい
  • 今は大きな会社の歯車でしかない

 

そして「大きな裁量権が自分に与えられる」と期待して転職するのですが、実際には「思ったよりも裁量権がない」と感じる人が多いです。

 

こうなったとき、失望しないために知っておきたいことがあります。

それは、分業体制が確立して責任のありかが明確な大企業とは違い、発展途上のベンチャー企業では、多くの責任は結局のところ社長にあるということ。

 

裁量権は無限ではない

裁量権は無限ではない

 

もちろん、ベンチャー企業によって違いがありますので、一概にはいえません。

 

ですが、特に転職直後の時期においては、「裁量権が与えられた分野は、完全に自分の自由」とは思わずに、慎重に確認しながら進めた方が良いでしょう。

 

④仕組みは自分で作る

ベンチャー企業には、未完成な部分がたくさんあります。

 

例えば、

  • OJT研修の仕組みがない
  • 効果測定の仕組みがない
  • ナレッジ共有の仕組みがない

など、あらゆる面で“仕組み化されていない点”が目に付くかもしれません。

「仕組みがないなんておかしい」

「仕組みを作ってください」

と言いたくなるかもしれませんが、“ない仕組みは自分で作る”ことも、ベンチャー企業では大切な仕事になります。

 

仕組みは自分で作る

仕組みは自分で作る

 

⑤予算感の桁が違う

大企業とベンチャー企業では、予算感がまるで違うために驚く人もたくさんいます。特に「使えるお金」の少なさは、あらかじめ想定しておきましょう。

 

例えば、取引先に対して、今までしたことのない値引き交渉を、積極的にする必要があるかもしれません。

 

予算感の桁が違う

予算感の桁が違う

 

実際、大企業からベンチャー企業へ転職した人で、

「今まで『値引きしてほしい』なんて言ったことがない。取引先に価格交渉をするのが本当に苦痛」

と悩んだ末、退職してしまったケースがありました。

 

ベンチャー企業では、「お金」をはじめとしたリソースが不足しています。リソース不足をフォローするためには、さまざまな工夫や交渉が必要になることを、心構えとして知っておきましょう。

 

⑥取引先から雑に扱われることもある

「会社名」という看板を背負って仕事をするうえでは、転職後に、取引先や営業先の扱いがガラッと変わることも覚悟しなければなりません。

 

その変化は、実のところ、かなり露骨です。

 

取引先から雑に扱われることもある

取引先から雑に扱われることもある

 

余談になりますが、露骨な変化は、プライベートでも感じるシーンがあるはずです。

 

例えば、「住宅を購入するために不動産会社を訪れ、カウンセリングシートに勤務先を書いたときの営業担当者の態度」が大きく変わるでしょう。

 

実際に、大企業とベンチャー企業では、住宅ローンの審査の通りやすさが異なる可能性があり、「転職するなら、家を買ってからにした方が良い」とアドバイスをする人もいます。

 

ほかにも、自分では想像だにしなかった部分で「扱いの違い」を実感し、驚くかもしれません。

 

7. 社内の人間関係が濃い

一概にはいえませんが、ベンチャー企業内の人間関係は濃い傾向があります。

 

これは、業務外でも仲が良いというよりも、業務を遂行するうえで、特定の人物と濃厚に、かつ長時間、関わり合う傾向があるという意味です。

 

社内の人間関係が濃い

社内の人間関係が濃い

 

たくさんの人が働く大企業なら、数人の馬が合わない人物がいても、受けるダメージは大きくありません。

 

ですが、ベンチャー企業では、たった1人の相性が悪い社員との関係性で、退職に追い込まれることもあり得ます。

 

⑧同じ企業でも時期によって雰囲気が違う

ベンチャー企業は、時期によってまったく異なる表情を見せるのも特徴です。

 

創業期、成長期、安定期……といったフェーズはもちろん、数ヶ月単位でも、社員の入れ替わりなどでまるで違う会社に見えることもあります。

 

例えば、社員数だけを比較してみても、どんどん変わっていくのがベンチャー企業の特徴です。

 

同じ企業でも時期によって雰囲気が違う

同じ企業でも時期によって雰囲気が違う

 

そのため、良い評判を聞いて入社してみても、入社するタイミング次第で、聞いていた話と実体が大きく異なることもあります。

 

2.大企業との違いに順応してベンチャー企業で活躍する人の特徴

 

ここまで、大企業からベンチャー企業に転職した人が戸惑いやすい点を解説しました。

次に、「ベンチャー企業に順応して活躍している人の特徴」を4つ、ご紹介したいと思います。

 

特徴1:自己承認力が高い

1つめの特徴は「自己承認力が高い」ことです。

 

大企業からベンチャー企業へ転職すると、端的にいえば「プライドが傷つく」出来事に直面しやすくなります。

 

今まで丁重な扱いを受けていたのに雑な扱いに変わったり、「自分がやるレベルの仕事ではない」と思う雑務をやることになったりと、“大企業の肩書き”がなくなった落差を実感するかもしれません。

 

これらの影響をまったく受けず、「どこ吹く風」という顔でやり過ごしているのが、もともと自己承認力が高い人たちです。

 

他者に対しての承認欲求(自分を認めてほしいという気持ち)がないので、肩書きがなくなっても気持ちをかき乱されることなく、淡々と新しい環境になじんでいきます。

 

特徴2:“本当の目的”がハッキリしている

2つめの特徴は「“本当の目的”がハッキリしている」ことです。

 

転職先のベンチャー企業で自分がやりたいことや、その仕事を通して成し遂げたいことなど、“本当の目的”を明確に持っている人は、働く環境が変わっても、揺らぎがありません。

 

ベンチャー企業に転職したことで感じる違いは、彼らにとっては些末なことで、気にも留めないのです。

 

ベンチャー企業という新しい環境で壁にぶつかったとしても、常に“本当の目的”に照らし合わせて、打開策を見いだそうとします。

 

特徴3:リスクを取る必要性を理解している

3つめの特徴は「リスクを取る必要性を理解している」ことです。

 

ベンチャー企業は、良くも悪くも不完全です。リソースもありません。そのため、リスクを取らざるを得ないシーンが多くあります。例えば「リスクがあってもスピード感を取る」というように。

 

「危ない橋を渡っている」「業務の進め方が乱暴すぎる」と批判的な目でしか見られない人にとって、ベンチャー企業で働くことは大きなストレスとなるかもしれません。

 

ですが、限られたリソースの中で成果を出すために、リスクを取る必要性(何かを犠牲にする必要性)を理解している人は、ベンチャー企業にスムーズに順応していく傾向があります。

 

もちろん、リスクを取り過ぎて大失敗する可能性もありますから、ときにはブレーキをかけるバランス感覚が重要なのはいうまでもありません。

 

特徴4:転職先のベンチャー企業と価値観が合っている

4つめの特徴は「転職先のベンチャー企業と価値観が合っている」ことです。

 

例えば、転職先のベンチャー企業が提供するサービスに惚れ込んでいたり、社長の理念に心から共感していたりと、“特別な思い”を持っている人は、違いがあっても乗り越える意欲を持ち続けます。

 

逆に、そのような強い気持ちがなければ、ベンチャー企業の劣ったところばかりが目についてしまい、転職の良さを感じ切れないでしょう。

 

ベンチャー企業と一口にいっても、さまざまな企業があります。転職を成功させる最大のコツは、「自分の価値観と合致したベンチャー企業を選ぶこと」といえるかもしれません。

 

3.ベンチャー企業にはベンチャー企業の良さがある

 

本質的に考えれば、「大企業」「ベンチャー企業」と区別することに大きな意味はなく、“やりがいがあり社会のためになる仕事をまっとうできるか”どうかが重要です。

 

ただ、筆者自身、複数のベンチャー企業に関わるなかで、大企業との違いに戸惑う方々を見てきたのも事実。

 

ひとついえるのは、ベンチャー企業には、ベンチャー企業の良さがあるということ。とてつもないやりがい、ドキドキ感、興奮、高揚、達成感、一体感——など、大げさにいうなら「生きている実感」さえ味わえる場所かもしれません。

 

本稿では大企業とベンチャー企業の違いをご紹介しましたが、どれも事前の心構えがあれば乗り越えられることばかりです。

 

ぜひ参考にしていただき、ベンチャー企業への幸せな転職をつかんでいただければと思います。

 

執筆者
名前:三島つむぎ
プロフィール:成長期から安定期のベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。その後独立し複数のベンチャー企業の立ち上げに携わった経験を活かしてライターとしても活動中。

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