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やり甲斐のある仕事のためにキャリア形成と「ライフワーク」の考え方とは

 

人生100年時代と言われ、一つの会社で定年まで勤め上げるという考え方も変わってきました。

働き方改革の一環として、副業を解禁するというところもあります。

 

そのような変化の中で考えておきたいのが「ライフワーク」です。

 

悔いのない人生を送るために、生きがいをもたらしてくれるライフワークをどのようにして見つければいいのでしょうか。

 

1.ライフワークを持つことの意味とは

 

ライフワークを持つことには、どんな意味があるのでしょうか。

それを教えてくれるのが、マズローの欲求五段階説と呼ばれるものです。

 

心理学者のマズローは、人間の欲求を低いものから順に、生存欲求、安全欲求、所属欲求、承認欲求、自己実現欲求の5つに分類しました。

 

この欲求五段階説では、下の方の欲求が満たされるにつれて、新たに一つ上の欲求が生じるとされています。

マズローの欲求五段階

マズローの欲求五段階(図:筆者作成)

 

それでは、この欲求五段階説で考えると、私たちの生活はどうなっていると考えられるのでしょうか。

 

まず生存欲求に関しては、多くの方で満たされていると言えます。

さらに安全欲求に関しても、日本に居住している限り社会秩序が維持されているので、こちらも問題ないと考えられます。

将来への不安は多少はあったとしても、最低限の欲求は満たされていると言えるでしょう。

 

次に、所属欲求と承認欲求についてはどうでしょうか。

今の時代にはLINE、フェイスブック、ツイッターなどのSNSがあります。

いつでも誰かとつながろうと思えばつながることができ、「いいね!」をもらうことで承認欲求も満たされやすいと言えるのではないでしょうか。

 

むしろ「SNS疲れ」という言葉もあるくらい、SNSをやり過ぎて疲れたという人もいくるらいです。

 

そうなってくると、最後に残されているのが自己実現欲求です。

その欲求を満たすためには、自分の中にある可能性を見つけ出し、それを十分に発揮していくことが必要です。

 

この自己実現欲求を満たすのに必要となってくるのが、ライフワークなのです。

ライフワークを持つことの意味とは、自己実現欲求を満たすことに他なりません。

 

2.ライフワークを見つけるうえで気をつけたいこと

 

ライフワークを見つけるうえで、気をつけておきたいことがあります。

それが、自己肯定感を高めることです。

 

自己肯定感が低いと、自分に自信が持ちづらくなり、自己実現しようという意欲も下がってしまいます。

 

そうなってしまうと、ライフワークが見つかりにくいだけでなく、自分には無理だからと最初からあきらめてしまいやすくなります。

 

自己肯定感が低くなってしまう原因としては、以下の二つ挙げられます。*1

 

・調子に乗ってしまうと後で痛い目に遭ってしまうのではないかという恐怖心

調子に乗ることと自己肯定感が高いことは、イコールではありません。

調子に乗るとは、自分を過大評価してしまっている状態であり、自己肯定感を高めるとは、ありのままの自分を認めることです。

 

・周囲に対して申し訳なく思う気持ち

周囲が苦労してがんばっているのに、自分だけやりたいことをやっていたら、周りの人に対して申し訳ないと罪悪感を持ってしまうという人もいます。

ただ、そういう考えになってしまうのも、責任感が強すぎることに原因があります。

 

自己実現するということは、ありのままの自分を認めるということです。

ありのままの自分を認めるためには、自己肯定感を高めることが必要になってきます。

 

日本人は海外の人に比べ自己肯定感が低くなりがちだと言われており、とりわけ日本の若者は自己肯定感が低いという調査結果も出ています。

 

以下の図は、各国の13歳から29歳までの若者について、自分自身に満足しているかを調査したものです。

令和元年版 子供・若者白書

引用)内閣府「令和元年版 子供・若者白書」P4(https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/pdf/b1_00toku1_01.pdf)

 

諸外国に比べ、日本だけが著しく低くなっている様子がお分かりいただけるかと思います。

 

自己肯定感が低いと、何か新しいことにチャレンジしようという意欲も低くなってしまいます。

ライフワークを見つけるうえでも、自己肯定感を高くするということを意識されてみてはいかがでしょうか。

 

3.好きなことをして生きていくには

 

好きなことを見つけて、それに取り組んでいくといっても、能力が一定の水準に達していなければ、仕事としてお金をもらいながらやるというわけにはいきません。

生計を維持しながら好きなことをやるには、収入を確保する必要があります。

 

では、それだけの能力を身につけるには、どうすればいいのでしょうか。

注目したいのが、「フロー」と呼ばれるものです。

 

フローとは、心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、ある物事の取り組みに対して没頭し、高い集中力を維持している状態のことをいいます。

 

このフローの状態になることで集中力を最大限に引き出し、自分の能力を引き出すことができます。

 

フローを構成する要素としてチクセントミハイが研究の末に見つけ出したものが以下に挙げる①~⑧までの8つであり、それに加えて⑨の要素も重要になってきます。*2

 

①明確な目的

 何のためにそれをやっているのかという明確な目的があり、かつその目的を実現するための手段や、それをやるとどうなるかという予想も、ある程度ついている。

 

②集中

 たくさんの物事からそのことを選択し、時間やお金などを集中してもいいと思える。

 

③自意識の低下

 我を忘れた状態になれる。

 

④時間の歪み

 そのことをしている時は、時間が短く感じられる。時間感覚が、短縮、圧縮される。

 

⑤レスポンスの速さ

 ある課題をクリアすると、すぐにその効果を実感できる。

 

⑥適切な難易度

 取り組んでいる物事が、難しすぎず、かといって易しすぎない。

 

⑦自分で状況をコントロールしている感覚

 自分が取り組んでいる物事の状況を正確に把握し、その物事を自分が望む方向にコントロールできていると感じられる。

 

⑧活動自体に価値を見出すことができる

 活動の結果として得られる報酬が目当てではなく、活動自体に価値を感じて取り組むことができる。

 

⑨他者に妨害されない環境

 電話が鳴る、誰かに話しかけられるなど邪魔されることがない。

 

 

自分の可能性を最大限に引き出すためには、没頭するという体験が欠かせません。

フローの状態になれる仕事があるのであれば、それがライフワークとなる可能性は高いと言えます。

 

4.「自分らしさ」を大切にする

 

厳しい就職活動の末に、大企業や公務員としての職を得ても辞めてしまい、アーティストになったり、塾や学校の先生になったり、独立して起業する人もいます。

そこまで踏み込んだ決断をできなくても、モヤモヤした感じを抱えている人もいるかもしれません。

 

筆者は心理カウンセラーですが、キャリアに関する心理学を学ぶまで、一見すると自分から稼げる仕事や安定した仕事を捨ててしまうこの行動の意味を理解できませんでした。

 

この不合理とも思える行動の意味を教えてくれたのが、組織心理学者シャインのキャリア理論です。

 

シャインは、洗脳に関する研究を通して、人には外部からの圧力によって変えることのできない「自分らしさ」があることを発見しました。

 

それは、職業やキャリアにおける自己概念(セルフイメージ)で、キャリア・アンカーと呼ばれるものであり、次の8種類が知られています。*3

 

①専門・職種別コンピテンス:自分の専門性や技術が高まること

②全般管理コンピテンス:組織の中で責任ある役割を担うこと

③自律と独立:自分で独立すること

④保障、安定:安定的に1つの組織に属すること

⑤起業家的独創性:クリエイティブに新しいことを生み出すこと

⑥奉仕・社会献身:社会を良くしたり他人に奉仕したりすること

⑦純粋な挑戦:解決困難な問題に挑戦すること

⑧生活様式:個人的な欲求と、家族と、仕事とのバランス調整をすること

 

このキャリア・アンカーに沿ったキャリアを歩んでいない場合には、何かモヤモヤした感じが生じてしまい、しっくりくるまで転職を繰り返してしまうことになります。

せっかく手に入れた仕事を手放してしまうという不合理に見える行動の裏には、自己実現をしたいとう欲求が隠れているというのが理解できます。

 

このことからも、ライフワークには、自分自身のキャリア・アンカーを満たしている必要があると言えます。

 

したがって、幸福感を得るためには自分のキャリア・アンカーは何なのかを把握しておくことが重要になってきます。

今までの自分を振り返り、どんなことをしてきたのかや、どんなことに興味を持っていたのかを一度書き出してみて、自身のキャリア・アンカーを調べてみるといいでしょう。

 

ぜひともライフワークを通して、「自分らしさ」を実現していきたいものです。

 

参照データ
*1 参考)「「自己肯定感」が低いあなたが、すぐ変わる方法」大嶋信頼著 P50~51
*2 参考)「「好き」を「お金」に変える心理学」DaiGo著 P85~86
*3 参考)「新時代のキャリアコンサルティング」労働政策研究・研修機構編著 P92~93

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