転職の採用試験では、書類選考に通過すると面接が実施されます。
これまでは対面式で行われていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン面接が増えてきました。
オンライン面接は企業に訪問する必要がなく、端末とネット環境さえあれば自宅から受けられます。
ただし、オンラインと対面式では特徴が異なるため、事前準備を怠ると思わぬ失敗を招く恐れもあります。
そこで今回は、転職のオンライン面接で失敗しないための準備と注意点について説明します。
1.転職におけるオンライン面接(WEB面接)の現状
国土交通省が新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえて実施した「企業等ヒアリング調査」によれば、多くの企業がコロナを機にオンライン面接試験を実施しています。
オンライン面接に対する反応は、企業や業種によってさまざまです。
各業種の企業ヒアリング結果(オンライン面接試験)
「スケジュールの組みやすさ」「地方在住者の面接機会増加」といった観点から、今後もオンライン面接を実施するとの意見があります。
一方で、「一緒に働くメンバーの雰囲気を把握するために対面で判断したい」といったニーズもあります。
また、コロナ終息後は「対面とオンラインのミックスを想定している」というヒアリング結果もありました。
今回の調査結果は新卒採用に関するものですが、転職採用においても同じスタンスで対応すると考えられます。
すべての企業が実施しているわけではないものの、オンライン面接は確実に増えており、新型コロナウイルス感染症が収束した後も定着する可能性が高いでしょう。
2.オンライン面接と対面式面接の違い
これまでは、オフィスや会議室など、企業から指定された場所に訪問して対面で面接を受けていました。初めて会う面接官と慣れない環境で話をするため、人によっては緊張でうまく話せないこともあるでしょう。
一方、オンライン面接の場合、端末とネット環境さえあれば自宅から参加できるので、面接にかかる交通費や時間を節約できます。
また、自宅にいながら面接を受けられるため、対面よりもリラックスして話ができるかもしれません。
ただし、端末の使い方に慣れていないと面接に集中できず、かえって本来の力を発揮できないこともあります。
オンライン面接を受けるときは、対面式との違いを理解し、事前準備をして本番に備えることが大切です。
3.オンライン面接を受けるために必要なもの
オンライン面接を受けるために必要なものをまとめました。
- 端末(パソコン、スマートフォン、タブレット)
- カメラ、イヤホンマイク、ヘッドセット(端末についていない場合)
- ネット環境(Wi-Fiまたは有線接続)
- 面接を受ける場所
オンライン面接を受けるには、端末とネット環境が必要です。
端末は画面が大きいパソコンを使うと、面接官が複数人の場合や資料を共有するときに見やすいでしょう。
パソコンがない場合は、スマートフォンでも問題ありません。
端末についていない場合は、WEBカメラやヘッドセットなども準備します。
ネット環境は、Wi-Fiと有線接続のどちらでも構いませんが、通信状況が安定していることは必須です。
また、オンライン面接は端末とネット環境さえあれば実施できますが、どこで受けてもいいわけではありません。
自宅の個室など、面接官と落ち着いて話ができる場所を確保しておきましょう。
4.オンライン面接の事前準備
オンライン面接では、「画面が表示されない」「インターネットに接続できない」といったトラブルが発生する可能性があります。
トラブルを回避して面接を成功させるために、面接日を迎える前に以下の準備を行いましょう。
①アプリケーション・ツールをインストールする
オンライン面接を受けるには、企業が指定するアプリケーション・ツールのインストールが必要です。
アクセス方法や基本的な使い方は企業から説明されるため、指示に従って操作すれば問題ありません。事前にインストールを済ませて、問題なく使えるか動作確認をしておきましょう。
②端末のカメラやマイクの動作確認
アプリケーション・ツールをインストールしたら、端末のカメラやマイクの動作確認をします。
画面が暗い場合は部屋の明るさが足りていない可能性があるので、電気をつけて調整しましょう。
スマートフォンの場合、位置が低いと相手を見下しているように見えてしまいます。
また、手で持ったまま面接を受けると画面が揺れて安定しないので、スタンドを用意してスマートフォンの位置を自分の顔の高さに合わせて固定しましょう。
マイクの音量を調整し、「相手の声が聞こえるか」「自分の声が相手に届いているか」を確認することも大切です。
ネット環境が不安定だと画面がフリーズしたり、声が途切れたりします。ZoomやSkypeなど、誰でも利用できるツールを使う場合は、家族や友人にお願いしてリハーサルをしておくと安心です。
③周囲の音や背景の映り込みを確認する
オンライン面接では周囲の音を拾ってしまい、面接の妨げになることがあります。
自宅でオンライン面接を受ける場合は個室を用意し、家族にも事前に伝えて静かな環境で受けられるようにしましょう。
また、ハンガーにかけたままの服やベッドなどが背景に映り込むと、面接官によい印象を与えません。
部屋を片づけて、面接に不要なものが背景に映り込まないように配慮することも大切です。
④対面式と同じ服装を準備する
オンライン面接であっても、服装は対面式と同じ服装を準備しましょう。
あくまでも転職の採用面接なので、自宅からオンラインで面接を受けるからといってラフな格好をしていいわけではありません。
オンライン面接では上半身しかカメラに映りませんが、面接の途中で立ち上がる可能性もゼロではないので、全身の服装を整えて面接を受けるのが基本です。
業界や業種によっては私服OKの企業もあるので、臨機応変に対応しましょう。
⑤トラブルに備えて連絡先を聞いておく
オンライン面接では、どれだけ準備をしても端末やネット環境のトラブルで接続できなくなることがあります。
先方の連絡先を聞いておくと、トラブルの発生したときにやり取りができるので安心です。
5.オンライン面接本番で心掛けること
基本的な流れやアピールすべきことは、オンライン面接と対面式の面接で大きな差はありません。
ただし、オンライン面接特有のポイントを押さえておく必要があります。具体的には、以下の点を心掛けましょう。
- 予定時間の5分前には待機しておく
- 大きな声でゆっくり話す
- 表情や反応に気を配る
- カメラを見る
- メモを取るときはメモ帳を使う(パソコンは使わない)
ログインするのは指定時間になってからで構いませんが、予定時間の5分前には待機しておくと、余裕をもって面接に臨めます。
オンライン面接では早口で話すと聞き取りにくくなるため、大きな声でゆっくり話すことを心掛けましょう。
オンライン面接は、対面式の面接に比べて表情や反応が読み取りにくい特徴もあります。
自分が話すときはジェスチャーを交える、話を聞くときは相槌をうつなど、よい雰囲気を作れるように表情や反応に気を配ることも大切です。
また、画面に映っている面接官の顔を見ながら話すと、相手には下を向いて話しているように見えるので、カメラを見て話すことを意識しましょう。
キーボードをたたく音が拾われて面接の妨げになる恐れがあるので、メモを取るときはメモ帳を使うのがおすすめです。
6.しっかり準備をしてオンライン面接を乗り切ろう
転職でオンライン面接の経験がないと不安を感じるかもしれません。
しかし、家族や友人に協力してもらってリハーサルをするなど、事前準備さえしっかりしておけば安心して面接に臨めます。
「画面が表示されない」などのトラブルが発生しても、焦らず冷静に対応することを心掛けましょう。

プロフィール:金融ライター(AFP、2級FP技能士)
フリーランスの金融ライター。会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。