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コロナ禍の中で就活生が選んだ人気企業ランキングTOP25社!大学生の最新内定状況も詳しく解説

コロナ禍の中で就活生が選んだ人気企業ランキングTOP25社!大学生の最新内定状況も詳しく解説

新型コロナの影響で、2020年度の人気企業ランキングにも大きな変化が出てきました。

 

今回は、コロナ前後の人気企業を比較しながら、ウィズコロナの時代において、就活生に人気のある企業がどこなのかを詳しく解説していきます。

 

21年卒の大学生の最新就職内定情報もリサーチしましたので、これから就活予定のある方は、ぜひ、参考にしてください。

 

1. 就活生に人気の大企業ランキング【トップ25】

 

東洋経済オンラインが作成した「コロナ経て学生が選んだ就職人気ランキング」の記事によると、就活生に人気の大企業のトップ25社は下図の通りです。

 

図1のデータを参照しながら特徴を見ていきましょう。

21年卒 20年卒 社名
前半 後半 総合順位
1 1 2 伊藤忠商事
5 2 5 明治グループ
4 3 4 大和証券グループ
3 4 8 日本生命保険
7 5 7 丸紅
6 6 11 博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ
9 7 66 損害保険ジャパン
31 8 16 三菱商事
8 9 10 大日本印刷
100 10 43 ソニー
28 11 3 東日本旅客鉄道(JR東日本)
80 12 12 三井物産
27 13 13 味の素
21 14 25 バンダイ
2 15 1 全日本空輸(ANA)
40 16 40 東京海上日動火災保険
15 17 15 みずほフィナンシャルグループ
13 18 20 第一生命保険
12 19 26 SMBC日興証券
18 20 21 ソニーミュージックグループ
17 21 24 Sky
11 22 9 JTBグループ
68 23 23 住友商事
14 24 27 ロッテ
10 25 6 日本航空(JAL)

図1 引用)東洋経済オンライン「コロナ経て学生が選んだ就職人気ランキング1位~50位」https://toyokeizai.net/articles/-/371915?page=3

 

①人気ナンバーワンは伊藤忠商事

21年卒の就活生が選んだ人気ナンバーワン企業は、伊藤忠商事です。

 

20年卒では2位でしたが、21年卒では堂々の第1位となっています。

 

伊藤忠商事は、例年、就職したい人気企業ランキング上位の常連ですが、ついに最大のライバルである全日空を上回る結果となりました。

 

2013年に「朝型勤務」を導入し、午後8時以降の残業を原則禁止する一方で、午前5時から9時までの早朝勤務に割増手当を支給するなど、働き方の先進企業としても有名です。*1

 

②ランキング急降下は全日空・日本航空・JR東日本・JTB

ランキングが急降下した企業は、全日空・日本航空・JR東日本・JTBの4社です。

 

全日空は毎年、就活生に大変人気のある企業で、20年卒では1位に輝いていました。

しかし、新型コロナによる海外渡航制限や、国内における移動自粛のあおりを受けて、業績が悪化。就職の人気ランキングも15位へと大幅にダウンしてしまいました。

 

日本航空やJR東日本、JTBも同じく新型コロナによる影響で、就職人気ランキングが軒並みダウンしています。

 

2.コロナ前より人気がアップした企業

 

コロナ前の20年卒(後半)とコロナ後の21年卒(後半)を比較して、人気がアップした企業をまとめた表がこちらになります。

 

コロナ禍の影響が全く無かった20年卒(後半)、ウィズコロナの時代が顕著になった21年卒(後半)のデータを比較しながら解説をしていきましょう。

 

【コロナ前より人気がアップした企業10選】

  企業名 業種 21年卒(後半) 20年卒(後半)
1 伊藤忠 商社 1位 2位
2 明治グループ 食品 2位 5位
3 大和証券グループ 金融 3位 4位
4 日本生命保険 金融 4位 8位
5 丸紅 商社 5位 7位
6 博報堂 マスコミ 6位 11位
7 損害保険ジャパン 金融 7位 66位
8 三菱商事 商社 8位 16位
9 大日本印刷 印刷 9位 10位
10 ソニー 電気機器 10位 43位

 

①コロナ前より人気アップした業種は商社と金融

図2のデータによると、商社は1位、5位、8位と上位に食い込み、3社がトップ10入り。

また、3社とも20年卒より人気ランクが上向きです。

 

特に三菱商事は20年卒では16位ですが、21年卒では8位とトップ10入りを果たしています。

 

毎年、人気の大和証券グループは4位から3位へと着実にランクアップ。日本生命保険も、8位から4位へと上昇し順調です。

 

目覚ましいところでは、損害保険ジャパンが66位から7位へと大躍進しており、金融も商社に負けないほど手堅い強さを見せています。

 

②食品は安定した人気

人々が生きていくうえで欠かせない食品も安定した強さです。

 

図1を参照しますと、食品は2位の明治グループ、13位の味の素、24位のロッテと3社が健闘しています。

 

明治グループはコロナ後も業績が良く、2020年8月12日に発表した2020年4~6月期の連結決算では、前年比より増収の経常利益で235億円と好調です。*2

 

新型コロナの流行により、消費者の健康志向が高まったことから、免疫力を高める機能性ヨーグルトなどの売上高が伸びたのも要因の一つでしょう。

 

味の素も、在宅勤務の増加により、家庭用コーヒーの需要が一時は3割増に跳ね上がり、今でも二ケタ増が続いている状況です。*3

 

このように、人間が生存していくうえで不可欠なものである食品は、これからも根強い強さを持つ業種と言えるでしょう。

 

3.コロナ後に人気がダウンした企業

 

コロナ前の20年卒(後半)とコロナ後の21年卒(後半)を比較して、人気がダウンした企業をまとめたものが下図3の表です。

特に大幅に人気が下落した下記の4社をリストアップしました。

 

【コロナ後に人気がダウンした企業4選】

  企業名 業種 21年卒(後半) 20年卒(後半)
1 全日空 航空 15位 1位
2 JR東日本 鉄道 11位 3位
3 JTBグループ 観光 22位 9位
4 日本航空 航空 25位 6位

 

①航空・鉄道が大幅にダウン

全日本空輸は、言わずと知れた人気企業で、毎年、就職人気企業ランキング上位の常連で、

コロナ前の20年卒では、堂々の第1位でした。

 

しかし、コロナ後の21年卒では15位と大幅ダウン。

 

同じ航空業界の日本航空も20年卒では6位でしたが、21年卒では25位と、こちらもかなりダウンしてしまい、かつての花形業種であった航空業界は、かなり人気が下落していると言えます。

 

人気が下落したのは、コロナによる旅客運送業界の先行きが不透明な経営状況が大きな要因でしょう。

 

全日空は2020年4月~6月の連結決算では1088億円の損失を計上し、7月以降も国際便は低迷する見通しです。しかし、国内線の需要は7月以降は回復基調が継続しており、明るい兆しも多少見えます。*4

 

日本航空も937億円の赤字決算。2020年度第1四半期は、全日空同様に非常に厳しい結果でしたが、需要の回復シナリオも提示しています。*5

 

JR東日本も20年卒では第3位でしたが、21年卒では11位と厳しい結果です。JR東日本も2020年4~6月に過去最大である1553億円の最終赤字を計上しています。

 

利用者が激減で売上高が55.2%も減少しており、コロナの影響がかなり響いている状況です。*6

 

②観光業も厳しい状況

新型コロナによる感染や移動自粛の影響で、観光業界も非常に厳しい経営環境です。

 

旅行会社大手のJTBグループも、20年卒では就職人気ランキングが9位でしたが、21年卒では22位へと下落しています。

 

JTBの2020年3月期の連結決算は、売上高が前年比5.8%減の1兆2886億円、営業利益が78.0%減の14億円、経常利益が15.5%減の25億円で、当期純利益は16億円(前期151億円の損失)です。

 

新型コロナの影響を大きく受けているJTBですが、コスト改善など経営改革の効果が表れ、黒字を確保しています。*7

 

4.大学生の就職内定情報

 

ここでは、21年卒の大学生の就職内定情報を解説していきます。

①2020年8月時点で内定率は81.2%

 

リクルートキャリア「就職プロセス調査 (2021年卒)

図4 引用)リクルートキャリア「就職プロセス調査 (2021年卒)2020年8月1日時点 内定状況」P1(https://www.recruitcareer.co.jp/news/20200806oj8yx.pdf)

 

リクルートキャリアが作成した就職プロセス調査 (2021年卒)のデータによると、2020年8月時点での内定率は81.2%となっています。

 

就職希望者に対する求人の数を示す「大卒求人倍率」は、新型コロナによる懸念が危ぶまれていましたが、バブル終焉やリーマンショック後ほどのひどい状況ではありません。

 

とはいえ、20年卒の状況よりやや低い状況であり、最終的に例年通り95.5%ほどの内定率に落ち着くのかどうかは、まだ先が読めません。

 

②大学生の求人倍率も落ち込んでいる

 

NHK「大学生とつくる就活応援ゼミ」

図5 引用)NHK「大学生とつくる就活応援ゼミ」(https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu515/)

 

大学生の求人倍率も、やや落ち込みを見せています。

 

2017年から2020年卒では1.74~1.83倍の求人倍率でしたが、2021年卒では1.53倍へと下落し、予断を許さない様相です。

 

このように、楽観できない状況ではありますが、リーマンショック後の大卒の就職が困難になった2011年卒から2014年卒の時期(就職氷河期)では、1.23~1.28倍という低い水準でした。

 

その頃と比べれば、コロナ禍の真っ只中とも言える現時点でも、若干良い方であると言えるでしょう。

 

5.まとめ

 

コロナ禍の中で就職活動を行うのは、様々な不安を抱えるということもあり、通常時よりも精神的に負担がかかる方も多いでしょう。

 

コロナ前後で、企業の経営環境も大きく変わり、学生も敏感に以前とは違う状況であることを感じ取っています。

 

リーマンショックもそうですが、世界経済は度々、思いもかけぬ状況が突然やってくるものです。

 

今回はコロナ禍に強い事業内容の会社が大きく躍進しました。

 

しばらくの間、世の中はウィズコロナの時代です。これから就職を考えている方は、時代の様相をしっかりと読み取り、会社選びをしていくことをおすすめします。

 

執筆者
執筆者:矢口ミカ
プロフィール:フリーランスの転職・不動産ライター。複数の転職・不動産メディアで執筆中です。宅建の資格を活かし、家族が所有する投資用不動産の入居者管理もしています。趣味は整理収納と料理。

 

参照データ
*1 NHK「ビジネス特集 コロナ禍で働くということ ~伊藤忠商事 岡藤会長にきく~」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200717/k10012520391000.html
*2 明治グループ「四半期報告書2020年4~6月期」P1
https://www.meiji.com/investor/library/securities/2021/pdf/securities_2021_01.pdf
*3 参考)食品新聞「コロナと対峙する味の素AGF 需要変化で高付加価値品も照準 第2波備え万全な供給体制」https://shokuhin.net/34045/2020/07/31/sonota/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%B4%BB%E5%8B%95/
*4 参考) ANAホールディングス株式会社 説明会 2021年3月期 第1四半期決算 P4
https://www.ana.co.jp/group/investors/data/kessan/pdf/2021_07_1.pdf 
*5 参考)日本航空「2021年3月期 第1四半期決算短信 IFRS(連結)」1枚目
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9201/tdnet/1867295/00.pdf  
*6 JR東日本「2021年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」1枚目
https://www.jreast.co.jp/investor/financial/2021/pdf/quarter1-01.pdf 
*7 株式会社JTB「2020年3月期 決算概要」P1
https://www.jtbcorp.jp/jp/company/accounts/pdf/accounts_report2020.pdf

 

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