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日本での「ジョブ型」導入先駆者、日立製作所の採用情報と選考スケジュールや就活対策について

日本での「ジョブ型」導入先駆者、日立製作所の採用情報と選考スケジュールや就活対策について

日本で真っ先に「ジョブ型」の人事管理を導入し話題になったのが日立製作所です。

従来の「メンバーシップ型」とは違い、予め職務が具体的に決まっており、それをどこまで達成できたかが評価に反映されるシステムです。

 

また、「通年採用・通年入社」を拡充しているのが大きな特徴です。

日立製作所の採用情報やスケジュール、就活対策などを見ていきましょう。

 

 

1.「メンバーシップ型」と「ジョブ型」人事管理の違い

 

在宅ワークの普及で今年に入って再び注目されているのが「ジョブ型」の人事管理で、今年に入って大企業が相次いで導入・拡充の動きを見せています。

 

従来の「メンバーシップ型」管理では、社員ひとりひとりの職務があらかじめ細かく決められてはいません。

上司や同僚から伝達、指示された仕事をこなすという形がほとんどです。

また、配属についても「採用後に決定」されるのがメンバーシップ型の特徴です。

 

一方で「ジョブ型」の人材管理では、詳細な業務内容があらかじめ「ジョブスクリプション」の形で明記されています。

目標もはっきりと決まっていますので、どこまで達成できたかという結果がそのまま評価にも反映されるというシステムです。

海外ではこちらの方がスタンダードになっています。

 

メンバーシップ型での評価は「態度」や「やる気」のようなものが加えられることが多いので顔を合わせなければ評価をしにくいという管理職の事情があります。

その一方で、ジョブ型では最初から社員に求めるものが明確なので、在宅ワークでも「結果」を見れば評価ができる、という点で注目されています。

 

 

2.日立製作所の「ジョブ型」導入背景と通年採用

 

日立製作所は「ジョブ型」管理を日本でいち早く導入した企業で、きっかけは2008年のリーマンショックに遡ります。

2008年度に史上最悪となる7873億円の巨額の最終赤字に転落し、復活の道を海外事業に求めることになりました。

その過程で、現地の人材を採用するにあたって、海外のスタンダードであるジョブ型人材管理を整備する必要性が出た、という経緯です。

 

ジョブ型は「人に仕事を割り当てる」のではなく「仕事に人を割り当てる」という考え方でもあります。

やりたい仕事が具体的に決まっている場合は、どのようなスキルが必要かということも事前にわかりますので、努力する方向性が明確になるという特徴もあります。

 

そして、2021年度からは「通年採用・通年入社」が本格的に導入されます。

新卒採用では、卒業後1年以内の自由な時期に365日入社することが可能になります。

 

内定が決まり、卒業後に留学やボランティア、学問以外の活動などやりたいことがあれば、それらに取り組んでから入社することができるというものです。

入社してからの職務が決まっていますので、この間にさらなるスキルを身につけ、自信をつけてから入社することも可能です。

 

 

3.日立製作所の募集職種や初任給など

 

募集職種は以下のような分野です。

 

研究開発、設計開発、生産技術、品質保証、システムエンジニア(SE)、営業、経理財務、資材調達、人事総務、生産管理、法務、知的財産マネジメントなど。

 

そして業務内容は「上記の募集職種において、定められた業務」です。

 

2021年度からは新卒と経験者の採用比率を以下のように変更することを発表しています(図1)。

 

 

新卒採用 経験者採用 合計
大学/大学院/高専卒 高校卒
2021年計画 500名 50名 400名 950名
2020年実績 600名 50名 300名 950名

 

 

なお、初任給は2021年卒については公表されていませんが、2019年4月の実績で

修士了:236,500円

学部卒:212,500円

高専卒:187,500円

でした。

 

3月から順次エントリーが始まります。

 

総合職系はエントリーののちWebテストを経て、グループディスカッションや面接を経て内々定です。

技術職には、「フィールドマッチング面談」が別途あります。

 

なお、求める人物像は「自らの知識、経験を駆使し、お客様や社会の課題に対し新しい価値を創り出せる人財」です。

 

 

4.日立製作所の社風や傾向と対策

 

日立製作所は単体で3万5000人、グループでは30万人の従業員を抱える巨大企業です。

大企業らしい「硬さ」はぬぐい切れませんが、社風としては「熱い」ところを持ち合わせています。

 

「日立語録」というサイトが公開されています。

これらを見ると、その雰囲気は伝わってくるでしょう。

 

また、巨大企業ですので、「部署によって全く違う」という部分もあります。

 

事前のイベントを通じて社員に触れ、直接目で見るのが一番です。

 

面接では、いわゆる「ガクチカ」と日立で働くことがどのように繋がるのかと言った一貫性が問われます。

また、ひとつの話題について深堀りされることも多くあります。

ですので、何か話題にしたい出来事がある時には、それについて深く幅広く、ひとつの話題だけで数分は話せるほど材料集めをしておく必要があります。

 

5W1Hといった詳細はもちろんのこと、その時の心情やその時何を考えたか、のちに振り返った時、自分にとってどのような気づきを得る経験だったのか、その経験で考えたことが日立製作所とどう関連するのか、まで徹底的に自分の中で分析しておきましょう。

 

性格や生活について問われることもよくあります。

ジョブ型人事管理に基づいた採用の場合、企業としては「ミスマッチ」は徹底的に防止したいという狙いがあります。

ピンポイントで人材を探していますので、どのような質問でも偽らず正直に答えるのがベストです。

 

学生時代やその後の経験で「何をどれだけ考えてきたか」や洞察力が試されます。

アンテナは高くしておきましょう。

 

考えたことや感じたことについて、日頃からしっかりメモを作っておくのもひとつの手段です。

 

 

 

5.日立製作所の採用情報と選考対策の参考書籍・サイトとまとめ

 

日立製作所のが垣間見える一冊として「ザ・ラストマン」(角川書店)があります。

 

著者の川村隆氏はリーマン・ショック直後に日立製作所の社長に就任し、その後の再生から回復までをリードした人物です。

社内での興味深い体験談が綴られているのと同時に、日立が「粘り強さ」を大切にする様子もわかります。

巨大企業はその中身を知ることが非常に難しく、その意味でもおすすめです。

 

また、先ほど触れた2021年度の採用計画は、プレスリリースが発行されています。一読しておきましょう。

 

プレスリリース「ジョブ型人財マネジメントの実現に向けた2021年度採用計画について」:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/03/0330c.html

 

「日立語録」はこちらのページに記されています。

 

「日立語録」:https://www.hitachi.co.jp/recruit/newgraduate/special/words.html

 

 

なお、経験者採用の募集職種はこちらに勤務地などを含めた詳細な業務内容が掲載されています。

 

募集職種一覧:https://hitachi.jposting.net/u/job.phtml

 

 

インターンシップやイベントも定期的に開催されているので、まず直接触れるために積極的に利用したいところです。

 

日立製作所 新卒採用サイト:https://www.hitachi.co.jp/recruit/newgraduate/

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執筆者 清水

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に記者として勤務。社会部記者として事件事故やテクノロジー、経済部記者としては企業活動から金融まで経済全般を幅広く取材。CSニュース番組のプロデューサーも務める。フリーライターに転向後は、取材経験や各種統計の分析を元に、お金やライフスタイルなどについて関連企業に寄稿。趣味はサックス演奏。自らのユニットを率いてライブ活動を行う。

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