重機、防衛、造船、宇宙産業まで手掛ける三菱重工は、総合重機の最大手です。
特にタービンはGEやシーメンスといった世界の主力メーカーと肩を並べる存在であり、収益の柱になっています。
三菱重工の採用情報や社風、傾向と就活対策についてみていきましょう。
1.三菱重工の募集職種と初任給など
採用は技術系と事務系に分かれ、選考フローに違いがあります。
技術系の場合は、
プレエントリー → エントリー(ES、テストセンターでの適性検査) → マッチング面談(2回) → 書類審査 → 内々定
のステップで、入社前に配属先分野を約束する「マッチング方式」を取っているのが特徴です。
事務系の場合は、
プレエントリー → エントリー(ES提出、Webテスト) → 書類選考 → テストセンター → 面接(複数回) → 内々定
となっています。
初任給は、2019年4月実績で
大学卒:238,500円
修士了:214,000円
です。
事業ドメインは大きく分けるとこのようになっています。
・エナジードメイン:タービン、火力発電システム、航空・造船用エンジンなど
・プラント・インフラドメイン:造船、交通システム、製鉄機械、工作機械など
・物流・冷熱・ドライブシステムドメイン:フォークリフトなど物流機器、冷熱機器など
・原子力セグメント:原子力発電システム
・機械システムセグメント:スポーツ施設、機械駐車場、高速道路システムなど
・防衛・宇宙セグメント:航空機、特殊車両、ロケットなど
・民間機セグメント:民間機部位(ボーイング向けなど)、スペースジェット(旧MRJ)
2.三菱重工の社風や傾向について
三菱重工の求めるのは、
「情熱を持って最後までやり遂げる、バランス感覚、柔軟な発想で新しい価値を生み出す」
人材です。
社風は、「熱い体育会系」の色が強いと言えます。明るくハキハキと話せることが重要です。
筆者は経済記者時代、三菱重工の工場などを長期取材したことがありますが、技術系の人も事務系の人も、とにかく情熱的で礼を重んじる風潮があります。
印象深いのは、ある工場で昼休みの時間に、社員が付近をジョギングしたり、筋トレをしたりする姿を見かけたことです。事務系にもスポーツマンの多い企業です。
巨大企業ということで堅いイメージもあるかもしれませんが、実際はノリの良い人が多く、逆に自社の堅いイメージを打破したいと考えている人も少なくありません。
性格やものの考え方について質問された場合には、誠実に答えるのが良いでしょう。
掲げている「社是」通りともいえます。このようなものです。
一、顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する
一、誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする
一、世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める
選考では、特に技術職の場合はマッチング面接が非常に重視されます。
ひとつひとつの事業の規模が大きい上、技術の伝承を大切にする意味でも、できることならひとつの分野を極める人材も必要だという考えがあります。
希望する分野についての本気度が問われるのと、その分野でみたときの三菱重工と他企業の違いについて聞かれることもあります。
三菱重工が他社と違ってどんな技術を持っているのかといった点も含めて、強い興味と勉強が必要です。
志望動機を深堀りされることもあります。熱意も試されますので、しっかりと伝えましょう。
3.三菱重工の採用対策として意識しておきたいこと
押さえておきたいのは、歴史です。
日本のモノづくりをリードする「古き良き」企業であるという自負の強い企業です。
歴史を知り、その中でどんな点にどのような魅力を感じたのか、自分の価値観とどう一致したのかなどを語れると良いでしょう。
先に紹介した「社是」にも、強い信念があります。制定の趣旨について一読しておきましょう。
「社是制定趣旨
昭和45年6月1日
当社の発祥は遠く明治3年(1870年)にさかのぼるが、当社の今日あるのはひとえに創業者岩崎彌太郎を始め歴代の経営者、従業員のたゆまぬ努力の所産である。これら諸先人の残された数々の教訓は今なお我々の脳裡に刻まれているが、今これらの先訓を思い起こし、当社の将来への一層の飛躍に備え、伝統ある当社にふさわしい社是を制定せんとするものである。
このたびの社是の文言は直接には第四代社長岩崎小彌太(いわさきこやた)の三綱領 ―所期奉公、処事光明、立業貿易― の発想に基づくものであるが、さらにこれを会社の基本的態度、従業員のあるべき心構えそしてまた将来会社の指向すべき方向をこの三つの観点から簡明に表現したものである。時あたかも三菱創業百年を迎え、激動する70年代の幕開けに際し、当社は時勢に応じ、絶えず新しい意欲を持って前進したいと思う。ここに新たな感覚を盛込んだ社是を制定する所以である。」
と綴られています。
明治から続く歴史を踏まえて、自分はどんな新しいものを提供できるかという視線を持ちましょう。
また特徴的なのは、戦闘機や潜水艦などの軍需、そして原発事業を請け負っている企業であるという点です。
この点に抵抗があるかどうかを問われる場合もあります。しっかりとした考えを持つことが必要です。
4.三菱重工の採用対策で参考にしたいサイトと書籍
まず、三菱重工の沿革については下のURLにあります。
沿革:https://www.mhi.com/jp/company/aboutmhi/outline/history.html
ここでは、会社紹介冊子や動画もチェックしておきたいところです。
次に、各事業ドメインの内容がわかるのが「製品案内」パンフレットです。
https://www.mhi.com/jp/company/aboutmhi/outline/pdf/product_profile.pdf
中期経営計画などのIR資料はこちらにまとまっています。
https://www.mhi.com/jp/finance
書籍には次のようなものがあります。
創業者・岩崎彌太郎の生涯を描いた「『三菱』の創業者 岩崎弥太郎 不屈の生き方」(PHP研究所)
当時の社会背景も掴めます。
また、軍需産業について書かれているのが「誰も語らなかった防衛産業」(並木書房)があります。
防衛産業に関連する企業を大小取材し、現状を描いています。
三菱重工については、各事業について理解し、興味のある分野について徹底的に研究するのが良いでしょう。
横浜市には三菱重工の博物館「三菱みなとみらい技術館」があります。
近隣であれば訪れてみると良いでしょう。