「陸王」第9話:新規事業はあきらめない!しかし買収もしない社長が思いついたアイデアとは

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ざっくり記事をまとめると
1.信用は人と人で成り立つ、そこで社長は買収相手と話をしてみることに
2.買収相手は信頼できる人だった、しかし競合企業がその後ろに潜んでいた
3.新規事業である陸王が重要であると決断した社長しかし、買収は断ることに

採用アシスタント

モノ作りには、そこにかける熱い想いが必要だといいます。日本も損得以上にその想いがどれだけ汲めるかというのは事業買収では大きな論点になります。社長が下した決断はとても理解ができるものですね

8話のあらすじ

ランニングシューズ「陸王」製造の心臓部であったシルクレイ製造機が故障してしまい、最大のピンチに追い込まれた「こはぜ屋」。

窮地に立たされた上に、銀行員の坂本(風間俊介)からは「会社を売らないか」と提案され、宮沢(役所広司)は「100年続いたこはぜ屋の暖簾を手放せというのか!」と怒りを露にする。陸王の生産を再開するには、シルクレイ製造機の造り直しは必要不可欠だ。そのためには高額の資金が欠かせないが、現状はどうすることも出来ないでいた。

そんなとき、こはぜ屋に出入りするドライバーの江幡(天野義久)が、近々開催される市民駅伝に参加しないかと話を持ちかけた。陸王を履いて参加することで、宣伝にもなるというのだ。その提案を聞き「そんな場合ではない」と言い放った宮沢だが、わずかでも「陸王」が人の目に触れることで、興味を持ってくれる人が居るかもしれないと思い直し、自分と江幡、そして大地(山﨑賢人)、安田(内村遥)、そしてあけみ(阿川佐和子)とチームを組み出場を決意する。果たして、大会の結果は?

一方、こはぜ屋の買収を画策する「フェリックス」の御園社長(松岡修造)はどう動くのか? その真意は?

「陸王」第9話(12月17日放送) 放送内容の振り返り

こはぜ屋の買収に反対する従業員達!2つの選択肢、どちらがこはぜ屋のため?

買収なんて冗談じゃない!こはぜ屋の暖簾を売るなんてどういうこと!?と大反対して紘一(役所広司)に訴える従業員たち。まだ正式に決めたわけじゃない、今こはぜ屋に残された選択肢は、フェリックスの買収を受け入れて陸王を続けるか、このまま元の足袋屋に戻るか、二つに一つしかない!俺はやっぱり陸王を続けたいんだ!と紘一は言う。買収ってそんなに悪い話なの?社長も私達も辞めなくていいんですよね!?足袋も足軽大将も陸王も続けられるんですよね?何がダメなんでしたっけ?という美咲(吉谷彩子)。そこに大橋(馬場徹)が来て、そんな話は信用しない方がいい!と言う。どういうことですか?と聞く紘一に大橋は、あくまでも一般論だが一旦子会社になってしまえば泣こうがわめこうが相手の思い通りにするしかなくなる…買収とはそういうことだ、人は表向きでは判断出来ない、銀行員としては買収のリスクは高いと考えるが、リスクのないビジネスチャンスはない、決めるのは宮沢社長だ!と言う。親父が陸王を続けたいって言う気持ちはわかる、でも会社が人ものになるんだぞ!本当にそれでいいのか?と大地(山崎賢人)は聞く。俺だって出来たらそうはしたくない、でもそれで大切な物が守れるならそれは仕方がないことだ、と紘一は言う。泣き出すあけみ(阿川佐和子)。あけみは、私は反対だよ!私だって陸王は作り続けたい、でも私は今のこはぜ屋が好きなんだよ!そんな得体の知れない外国の会社のためになんか働く気になれない!と言い、他の従業員達も賛同する。安田(内村遥)も、そもそも陸王はこはぜ屋を守るために始めたのに今度はその陸王を守るためにこはぜ屋を売るなんて本末転倒だ!と反対する。でもこのままじゃ遅かれ早かれこはぜ屋は無くなってしまう!少なくともフェリックスの傘下に入ればこの先も仕事を続けることが出来る!100年の暖簾を守ることだけが本当の意味でこはぜ屋を守ることになるのかな…?と紘一は辛そうに言う。もういいよ!私達がいくら何を言ったって結局決めるのは社長だから…でもこれだけは言わせて!私は会社を売ることに賛成することは絶対にない!!とあけみは宣言し、皆も仕事へと戻っていく。だったらどうすればいいんだよ・・・と目に涙を浮かべて困り果てる紘一。

村野(市川右團次)はたくさんの靴を持って茂木(竹内涼真)の所へ行く。とにかく一度履いてみろ!と村野は言うが茂木は、すみません、せっかくここまでしていただいたのに…と言いアトランティスの靴を見せる。最新モデルか?と村野は言いその靴を手に取って観察する。アトランティスから何を言われようと履きたくない靴を履くことはないぞ!と城戸(音尾琢真)は言う。茂木は、でも俺がRⅡを履けば皆が助かる!と言うが城戸は、部のことを考えるのは俺の仕事だ!お前はお前のためだけに走ればいい!村野さんの靴を履いてみろ!と言う。村野は、いや、その必要はない、このRⅡを履け!これはかなりいい出来だ!相変わらずソールの厚みはあるがその分その固さを絶妙に調節してある、そしてこの柔らかく丈夫な素材は橘さんのダブルラッセルだな、陸王には届かないとしてもこの軽さ、RⅡは腐ってもRⅡだ!これなら疲労が蓄積する後半もある程度はミッドフット走法を持続出来るはずだ!今のお前に一番最適なのはこのRⅡだ!という。

そして茂木はそのRⅡを履いて練習を行なう。見に来た小原(ピエール瀧)も満足そうに声をかける。正直言ってとても良いシューズです、驚きました、と言う茂木に小原は、我々はどこかの足袋屋やシューフィッターと違って常に進化している!これからの活躍を期待していますよ!君がRⅡを履き続ける限り我々もダイワ食品陸上部を全力でバックアップさせてもらう!と言う。君達も茂木君に感謝しろよ!と佐山(小籔千豊)も他の部員達に言い、2人は帰って行く。

本当に良かったんですか?と聞く城戸に村野は、陸王がない今これが最良の選択肢です、と言う。

元気に戻って来た富久子(正司照枝)を囲んで喜ぶ従業員達。そこに、おかえり!良かった良くなって!今夜富久子さんの全快祝いをやろう!と紘一が来るが皆は表情を曇らせる。私行かないわよ!裏切り者と酒なんて飲めないわよ!と富久子も冷たく言う。そして皆は解散して帰ろうとする。話まだ終わってないでしょ!!と言う紘一にあけみは、社長が考え方を変えない限り残業を一切致しません!と言い、皆も帰って行く。

それはマズいですよ!!今月末には大徳デパートに久々の大口納品がある!万が一でも間に合わないなんてことは許されない!!こんな状況が続いたら会社は倒産する!と富島(志賀廣太郎)は紘一に訴える。紘一は、もうどうしていいかわからん!!帰る!!と言い帰って行く。そんな紘一を見つめる大地。

大地は居酒屋で友人にフェリックスが買収を持ちかけて来たことを話す。ラッキーだな、それ!何が不満なんだ?これでお前の会社も安泰じゃないか!と言う友人。しかし、納得のいかない表情で酒を飲む大地に友人は、お前本当に親父さんの会社が好きなんだな!と言う。

紘一は飯山(寺尾 聰)に会社を売ることを相談する。正直倒産するより遥かにマシかな、特にこれだけ条件がいいから…御園(松岡修造)っていう男、どんな人間なんだ?自分の新しいボスになる男がどんな奴なのかわからないんじゃ買収に賛成も反対もない、あけみちゃんや皆だって同じ気持ちだと思う、俺はあんただからシルクレイを任せた!あんたは皆の前で御園社長は信頼出来る男だって責任持って言えるのか?と飯山は言う。

御園は信頼出来る男か?御園の過去とは…

茜(上白石萌音)と紘一は御園についてインターネットで調べる。顔もかっこいいし絵に描いた様な成功者だね、と言う茜。お父さんにもいいところはある!と茜は慌ててフォローするがその例が見つからない。美枝子(檀ふみ)は、いつも社員の立場に立って、偉ぶってないから気さくにものを言える所かな!?と言う。気さくすぎて今会社は大モメだ!と紘一は言う。その時御園から電話が来る。決心は着きましたか?と聞かれた紘一は、自分の気持ちも含めて社内の調整にもう少し時間がかかりそうだ、もう一度時間を調整してお話を聞かせてもらいたい、と伝える。

納品する足袋がまだ52足足りない。皆どうしちゃったの!?ペースが遅くなってる!と言う安田に従業員達は、手を抜いているわけではないが作業に集中出来なくて…と言う。そして残業をせずに帰る皆に安田は、玄さんがこのままだと今月の給料を払えなくなるって頭を抱えていた!と言うが皆はそのまま帰って行く。

皆の士気はがた落ちだ、このままだと会社の信用に関わる!と紘一に言う安田。そこに2人の従業員が戻って来て、明日から残業する!半分はあけみさんと同じ気持ちだから誤解しないで!でも正直言うと残業代で助かってたというところもあるから…大企業の子会社になったら私達の給料も上がるの?と聞く。フェリックスの後ろ盾で商品が売れる様になれば皆の給料もきっと上がる、と言う紘一に従業員は、今までと同じ仕事ができてもらえるお金が増えるんだったら会社売るのに賛成だ、と言う。その会話をそっと聞いていたあけみは肩を落として帰って行く。

アトランティスで走りデータをとり終わった茂木の所に小原と佐山が来る。茂木はソールのヒール部分をもう少し薄く出来ないか?と小原に言う。わかった、検討しておくよ、と小原。それより豊橋国際はエントリーしたのか?と聞く小原に茂木は、この間の1万メートルのことがあり監督からはまだ許可がおりていない、と言う。あれはシューズのせいで君のせいではない、我々からも君が出られる様にプッシュしておく、と小原は言う。

そこに毛塚(佐野岳)が来て、嬉しいな、またRⅡを履いてくれて!これでお前が負けてもシューズのせいには出来ないからな!と言う。無言で毛塚を見つめる茂木。

茂木は城戸に、この前の失敗を取り戻したいからチャンピオンズカップに出たい、そこで結果を出せたら豊橋国際に出して欲しい、このRⅡなら毛塚と渡り合える、と言う。

ロッカールームで待っていた佐山は茂木に、毛塚が直近のレースで出したタイムとデータのメモを見せる。参考にしたらいい、と言われ受け取る茂木。

紘一は御園と魚釣りに行く。初めて魚が釣れ興奮する紘一。紘一が身につけていたのはフェリックスの商品だった。どれも機能的で動きやすい、特にこの靴はすごい!と言う紘一。

御園 「嬉しいなぁ。あの陸王を作られた宮沢さんにそう言っていただけると励みになります!」

紘一 「いやいや、私なんて陸王一つ作るのに失敗やトラブル続きで、結局頓挫してしまって…。御園さんとは大違いですよ!」

御園 「宮沢さんは勘違いをしてらっしゃる。私は何度も挫折をしてきた人間なんですよ。」

—東日本チャンピオンズカップ会場—

茂木はRⅡを履いてスタートする。陸上部のメンバーも会場から声援を送る。

御園はテントの下で紘一にコーヒーを入れながら話す。

御園 「私はもともとニューヨークに本社があるアパレル企業で働いていました。入社して10年、がむしゃらに働いてチーフマネージャーになったんですが、ある時その会社が他社に買収されました。私はいとも簡単に子会社であるスーパーマーケットに出向させられました。それでもどうしてもアパレルの仕事に未練があって、いっそ自分で創業しようと決意し会社を辞めました。ジャニスというのが社名です。妻がデザインしたバッグを製造販売する会社です。ジャニスというのは妻の名前なんです。」

—6000m地点—

茂木は先頭集団につける。

御園 「当時の私は自信満々でした。妻と2人で作り始めたバッグは瞬く間に売り上げを伸ばし、私は銀行からお金を借りて工場を作り、一気に大量生産に踏み切ったんです。しかしある時妻がデザイン変更をしたいと言い出して…それまでのデザインは私の経験を元にあれこれと口を挟みながら作らせていたものなので妻は納得していなかったんです。結局新しいデザインはダメでした。会社には借金だけが残り、妻は責任を感じ、新しいデザインを求めて各地を転々としていました。そんな時メキシコでカテゴリーファイブという巨大なハリケーンが発生して、100名以上の死者が出て妻もその1人でした。私は全てを失った…。」

—8000m地点—

先頭集団は5人になった。あと5週もつか、と心配する部員。城戸は黙り込んでじっと見つめる。茂木はスパートをかけて先頭に躍り出る。

御園 「私の人生は終わった。もう日本に帰ろう、そう思った時ベンチャーキャピタリストの知人が声をかけてくれた。もう一度やる気があるなら資金を準備すると。そして私の再チャレンジが始まった。その時創業したのがフェリックスなんです。」

紘一 「そこから今の世界的企業に成長されるまでには私なんかには想像出来ない様な御苦労があったんでしょうね。」

御園 「順風満帆な人生なんてありませんよ。だけど私には全てを失った経験がある。絶望を知っていることが私の最大の強みなんです!」

紘一 「フェリックスというのはどういう意味なんですか?」

御園 「フェリックスは妻の命を奪ったハリケーンの名前です。」

茂木は1人独走を続ける。先頭集団との差を開き、1位でゴールする。これ記録出たんじゃないですか!?フルマラソン行けますよ!と興奮する部員達。

御園 「決して忘れられない、忘れてはいけない私の原点です。壁にぶつかった時、フェリックスという名は運命に挑戦し勝ち抜くための何か怒りの様なものを掻き立ててくれる。それが私の原動力です!」

紘一 「あなたは…すごい人ですね。」

紘一はあけみに御園から聞いたことを話す。

あけみ 「その御園社長っていう人も色々大変だったんだね。」

紘一  「俺も驚いたよ。」

あけみ 「だけど、どんなに立派な人だったとしてもこの会社を売ることには反対だよ。」

ため息をつく紘一。

あけみ 「陸王とこはぜ屋、どうしてもどっちかを取れ!って言われたら私はこはぜ屋をとる。」

紘一  「本当にこはぜ屋のことを思うならー」

あけみ 「私だって頭ではわかってる!でも気持ちがついて行かないんだよ。私一度こはぜ屋を辞めたことがある。随分昔のことだけどね。大手のファッションブランドで自分の力を試したいと思って、先代が止めるのも聞かずにもう大げんか!でも実際入ってみたらそこで求められたのは縫製の技術とかじゃなくて、いかに効率よく商品を作るかっていう事ばかり。もう一年も経ったらボロボロになって…そんな時に先代から電話があって、そろそろ戻って来たらどうだい?ミシンが寂しがってるよ!って…。誰が足袋屋なんかに戻るか!って言いながら私涙が止まらなかった。」

紘一  「全然知らなかった、そんな事があったなんて。」

あけみ 「出戻り娘みたいで笑っちゃうよね!でもその時わかった、私にとってこのこはぜ屋が第二の家なんだ!って。だからそういう家があんな大手の会社みたいになっちゃうと思うと怖いんだよ!古いミシンだったり、先代が遺してくれた言葉だったり、そういう値段のつけられないものにこそ価値があるの!失いたくない!」

紘一  「たとえ家が変わったとしても、そこに住む家族が一緒なら何も変わらないんじゃないか?こはぜ屋っていうのはあけみさん達のことだよ!玄さんや安や米子さんや美咲ちゃん、富久子さん…こはぜ屋っていうのは皆のことだ!たとえ経営者が誰かに変わったって皆がいればこはぜ屋は生き続けるよ!そうだろ!?」

あけみは堪えきれず涙を流す。紘一の目にもいっぱいの涙が…。

そして夜の道を紘一は陸王を履いて走り、こはぜ屋の前に行く。陸王が完成するまでの、今までの出来事が一つ一つ蘇る。紘一は電話を取り出し、坂本(風間俊介)に電話する。そしてフェリックスに会社を売る話を正式にお願いしたい!と言う。これでまた陸王が作れますね!と坂本は言う。

アトランティスの企み!御園はどう動く?

小原と会って酒を酌み交わす御園。こうしてお会いするのは何年ぶりかな?と言う小原。ご無沙汰しておりました、と御園。2人はアメリカ時代からの知り合いだった。向こうの経済誌が取り上げた“アメリカで活躍する日本人”っていう特集で顔を合わせて以来の付き合いだ、と小原は佐山に説明する。今夜は昔話に花でも咲かせましょう!と言う小原に御園は、ただ懐かしくて人を会食に誘う様な人ではなかったはずだ、と言う。では単刀直入に言う、こはぜ屋の買収話を進めているようだが、世界に名の知れたフェリックスがあんな片田舎の足袋屋に資本を投入するとは驚いた、と言う。なるほど、私がこはぜ屋さんを買収すればまた陸王を作ることが出来る様になる、競合するアトランティスさんとしては私に手を引けと?と御園が言うと小原は笑う。我々には競合しているという意識はない、あんな潰れかけの足袋屋など眼中にない!どうぞ遠慮なく買収なり何なりして下さい、その上でウチと取り引きをしませんか?不採算部門である陸王などさっさと廃止して、シルクレイをウチの新型RⅡのソールに使わせてもらいたい!どちらが利益を産むか一目瞭然じゃないですか?と小原は言う。確かに悪い話ではなさそうですね!と御園。

茂木が東日本チャンピオンズカップで大会新を出して優勝したという記事を読んで喜ぶ紘一達。毛塚の持つ10,000mの記録も更新していた。本当だったらここに映ってたのは陸王のはずだったのにな、とRⅡを履いた茂木の写真を見て大地は残念そうに言う。確かに残念だけどまたいつか履いてもらえる日も来るさ!と言う紘一に安田は、それってもしかして会社を!?と言う。

大地は4時からアポがあるから!と織物会社に行こうとする。大ちゃん、もういいんじゃないか?ウチはアトランティスに負けたんだ!と言う富島。安田も、RⅡでこんな成績をおさめたんだからもう陸王を履いてくれないかもしれない、と言う。もう陸王のためにこはぜ屋を売るなんて意味ないんじゃないですか?と富島は言うが、大地は黙って出て行く。

足袋の方は他の従業員も残業をしてくれて遅れは取り戻して来ていたが、あけみだけはまだ残業をしないで帰って行く。ごめんねみんな、私のせいで迷惑かけちゃって…でも私、今のままじゃどうしても踏ん切りが着かない!と辛そうに言い、帰って行く。

焦りもがく茂木!

何でダメなんですか!?フォームもスタミナも問題ありませんでしたよね!?と城戸に抗議する茂木。城戸は深いため息をつく。そこに、私が止めたんだ!と小原が入ってくる。

小原 「まずは東日本チャンピオンズカップの優勝おめでとう!やはり君をサポートして良かったと確信している。」

茂木 「だったらどうしてですか?小原さんだって僕と毛塚の勝負を楽しみにしてるって言ってましたよね?」

小原 「確かにそう言った。勝負になれば、だ!」

佐山 「茂木君、この間のテストランのデータを元に今の君がフルマラソンを走った場合の予測が出た。あらゆる項目を距離と時間ごとに細かく測定し、アトランティス独自の統計データと照らし合わせた。結果は実業団ランナーの平均タイムよりも大幅に下回った予測になった。」

茂木 「そんなものあてになりませんよ!」

佐山 「これまでにこの予測が大幅に外れたことは一度たりともない!」

小原 「茂木君、これは君のために言っているんだ。アトランティスのシューズを履いて無様なレースをすることは許されない!」

城戸 「念の為だ!今回は見送れ!少なくとも10000mでは毛塚を上回ったんだ。そう焦るな!」

そこに部員が走って来て、今日の10000mで毛塚がお前の記録を塗り替えた!と言う。

毛塚が1日で茂木の記録を塗り替え、茂木は豊橋国際の出場を見送りか!?という記事を読む紘一、大地、安田。大丈夫かな…せめて新しい陸王を届けてやれたらな…と心配する3人。仮に今すぐフェリックスの傘下に入ったとしても設備を新しくしてシルクレイが作れる様になるまでには3ヶ月以上かかる、と安田は言う。たしかラスト一枚茂木モデルのソールがあったよな?と聞く紘一に安田は、あるけどアッパー素材がないことにはどうにもならない、もし作れてもたった一足じゃ…と言う。

大地は工場に行き、茂木のソールを手に取ってじっと見つめる。大地はタテヤマ織物に営業に行くが担当者には会えずじまい。何時間もじっと待ち続ける大地。受け付けの人から、本日は戻らないと連絡があった、と言われがっかりする大地。帰ろうとする大地に声をかける1人の男性が・・・。

それは担当者の上司の檜山だった。宜しければ私がお話を伺う、と大地に言う。大地は陸王を見せる。アトランティスには実績や規模では叶わないが品質やコンセプトでは負けていない、いつか必ず世界一のシューズにするつもりだ!と大地は言う。わかりました!お手伝いさせていただきます!この陸王にぜひウチの商品を使っていただきたい!と言われ断られ慣れていた大地は驚く。本当に宜しいんでしょうか?と聞く大地に檜山は、これはウチにとってもビジネスチャンスかもしれない!と言う。でも社内で検討とかが必要では?と戸惑う大地に檜山は、隠しているつもりはなかったが…と名刺を渡す。そこには「株式会社タテヤマ織物 代表取締役社長 檜山和人」と書いてあった。すみません、失礼なことを!と謝る大地に檜山は、あなたがあれほどの熱意を傾けている物がどんな物か気になった、このシューズはとても完成度が高い、お手伝いさせていただけるのならこちらこそ是非お願いしたい!と言う。ありがとうございます!と頭を下げる大地。

こはぜ屋に戻って皆に素材を見せる大地。タチバナラッセルの素材以上のいい素材かもしれない!と皆は喜び大地を褒め労う。部屋の外であけみはそっと様子を見ている。富島だけは、大ちゃんが頑張ったことは認めるよ、だが正直見つからない方が良かったんじゃないかな、足袋屋に戻るんだったらそもそも必要ないし、会社を売って陸王を続けたとしてもフェリックスが指示する素材を使わざるをえないのが関の山だ、と言う。大地の頑張りを知る飯山は富島に掴み掛かろうとして2人はケンカになる。やめて下さいよ!!俺に皆の力を貸して欲しい、陸王を作りたい!タテヤマ織物さんに頼んで少し多めにサンプルをもらって来た、これで新しい陸王を作って茂木に届けたいんだ!シルクレイは茂木用のがあと一足分あるからそれを使う!ただ持っていてくれるだけでもいい、サポート出来なくてもこはぜ屋は茂木を応援してるって伝えたい!!もしこれが最後の陸王になったとしても、無駄なことかもしれないけど無意味じゃない!と大地は言う。私も手伝うよ!とあけみが入ってくる。大ちゃんがそこまで思ってくれてるんだ!ここでやらなきゃ女が廃るよ!とあけみは言う。紘一はあけみに、ありがとう!とお礼を言う。今までで最高の陸王を作るよ!とあけみは言い、皆は沸き立つ。

茂木は皆が止めるのも聞かずに2時間、30キロ以上走り続ける。城戸も来て無理やり止めようとするが、あと10キロ、フルマラソンが走れることを証明する!と茂木は言い再び走ろうとする。そんな事だから豊橋国際に出ることを反対したんだ!と言う城戸に茂木は、じゃ教えて下さいよ!俺の何がダメなんですか?俺と毛塚の何が違うって言うんですか!?と言う。お前は何見て走ってるんだ!?そんなに聞きたいならはっきりと言ってやる!今のお前じゃ毛塚には勝てん!あいつはお前の遥か先を行く天才だ!お前が怪我で燻っていた間毛塚は常に追われる側の人間だった、その重圧がわかるか?それでもあいつはトップを走り続けた、お前が挑もうとしている奴はそういう奴だ!昔の毛塚とは違うんだよ!ちょっとニューイヤーで勝ったからって調子に乗んなよ!!お前もしかしてあの時毛塚が病気を偽ったとでも思ってるんじゃないだろうな?知り合いに確認したがあの日毛塚は38度の発熱で間違いなくいつリタイアしてもおかしくない状況だったらしい、つまらん挑発に乗って自分を見失ってる場合か!?お前は何のために走ってるんだ?毛塚に勝つためか?お前のマラソンのゴールはもっと先にあるんじゃないのか!?まずお前が勝たなきゃいけないのは自分自身だ!それが出来た時初めて毛塚を超えられる!と城戸は強い口調で言う。

その様子を遠くから見ていた村野はそのまま帰ろうとするが電話が来る。

屋台で酒を飲む飯山から村野は新しい陸王を作ることを聞かされる。だから茂木に会える様に調整してやって欲しい、と言う飯山に村野は、それは出来ない、出来ることならそんな陸王を作ることもやめてもらいたい、やっと吹っ切ってRⅡを履いた茂木に期待を持たせないで欲しい、とキッパリ断る。帰ろうとする村野に、物わかりのいい大人を気取ってついやせ我慢をしたくなる、でも連中は違う!一緒にやると決めたら鬱陶しいくらいにとことん寄り添ってくる!茂木も待ってるんじゃねーのか?あんたのことを!と飯山は言う。

あけみが縫製をし、大地がソールをつけ、茂木の新しい陸王が完成する。5代目陸王出来たよ!と大地は紘一に渡す。皆も嬉しそうに見つめる。そして陸王の重さを量ると148g、新記録だった。そこに村野が来て陸王を手に取る。相変わらず縫製は完璧だ!でもこの素材だったらあと1ミリかかとを深くしてつま先にゆとりを持たせた方が良い、まだ素材はありますか?と聞く。あと少しなら、と答える大地。それじゃ、やり直し!!茂木に最高の陸王を届けたいんでしょ!?と村野は言い富島も、陸王を作るのには今でも反対だが作るからにはこはぜ屋品質じゃないと!と言う。大地は、皆さんあとひと頑張りお願いします!と言いあけみ達も再度奮起する。

そして再び出来上がった陸王を見た村野は完璧です!!と笑顔で言い、皆も喜び合う。ありがとうございます!とお礼を言う大地に村野は、茂木のことここまで気にかけてくれてありがとう!と言い固い握手をする。皆もアッパー素材を見つけて来た大地を賞讃する。

紘一の決意、皆の気持ちも決まる!

早速明日茂木選手に陸王を届けてやってください!と言う安田に紘一は、明日は大事な用があって行けない、フェリックスに行ってくる!そこでこはぜ屋を売るための正式な手続きをして来ようと思う、と皆に宣言する。思わず表情を曇らせるあけみ達。あけみさん、玄さん、他にもまだ納得がいかない人はいると思う、本当に申し訳ない、だけど俺はやっぱり陸王を諦めたくないんだ!一つは茂木選手や陸王を選んでくれた選手のため、そしてもう1つはこはぜ屋のため、そのことを今日は確信した!ふがいない俺のせいでバラバラになりそうな皆がたった一足の陸王を作るためにこんなにも力を合わせて一つになってくれた!陸王はこはぜ屋のために必要なんだ!失うことは出来ないんだよ!皆もどうかこの通りだ!と紘一は言い頭を下げ、皆は涙を流す。親父がそうしたいんなら俺は従うよ!と言う大地。社長ともあろう人がそう簡単に社員に頭を下げるべきじゃない!そこまで考えてらっしゃるなら従わなきゃならんでしょう、と富島も言う。大丈夫ですよ!フェニックスグループになるというだけでやることは一緒なんでしょ!?皆一緒に働けるならそれでいいじゃないですか!と安田も言うがあけみは、良くないよ!私はやっぱり反対だ!買収なんて冗談じゃない!だからきっかり私達の技術を見せつけて私達がいないと困るって言わせてみようよ!こはぜ屋が買収されるんじゃなくてフェリックスに力を貸すつもりで傘下に入ってやろうじゃないか!と言う。ああ、会社は手放すけど、皆のことは絶対に俺が守るから!と言う紘一に安田は、何言ってるんですか!?こういう時は普通社長が解雇される、そうならない様に俺たちが守ってあげますから!と涙ながらに言う。ありがとう!ありがとうみんな!と紘一。飯山だけが皆を見ながら何かを考え込む。

紘一の所に来た飯山。紘一はこはぜ屋の勝虫の描かれた半纏を触りながら、先代も先々代も皆これを来て必死にこはぜ屋を守り抜いて来たのに俺の代で終わりです、と悔しそうに言い肩を落とす。ここまで来てあんたの覚悟を惑わすつもりはないんだが、本当にもう手がないのか?俺はあいつらからのシルクレイを使わせてくれという要求を断った、あんたとの契約のこともあったがそれよりももっと何か別の可能性があるんじゃないかっていう気がしたんだよ、それがなんなのかはよくわからなかった、だけどさっきあけみちゃんが言ってることを聞いてやっとわかった、社長、あきらめの悪いのはあんたの専売特許だろ!?だったらもっと悪あがきしてみてもいいんじゃないのか?いいか!?相手の狙いはシルクレイだ!俺はそのシルクレイの製造許可をこはぜ屋にだけ与えた、つまり今こはぜ屋以外にシルクレイのソールを製造出来る業者はいねーっていう事だ、と飯山は言う。

佐山から渡された毛塚の大会記録のメモを見つめる茂木。そしてそれを握りつぶすとゴミ箱に捨てる。珍しいな、今日はもう走らないのか?と言いながらやって来た佐山に茂木は、最近無理してたんで身体を休めようと…と言う。余裕だな、今日も毛塚はタイムを伸ばしていた、と新しいメモを渡そうとする佐山に茂木は、毛塚の情報はもういらない、自分の走りをするためだ、と断る。

紘一VS御園!紘一はこはぜ屋の崩壊を止められるか?

—フェリックス日本支社—

御園は紘一と坂本を迎え入れる。コートを脱いだ紘一が来ていたのはこはぜ屋の半纏だった。驚く御園。失礼を承知でこれを着てあなたとお話ししたい、と紘一は言う。素敵な半纏ですね、と御園は言う。

御園 「今日という日が迎えられたこと、心より嬉しく思います。きっと良いご返答をしていただけると信じていました。」

坂本 「御園社長、実は…」

紘一 「申し訳ない!!」

頭を下げる紘一と坂本。

紘一 「一度は御社の買収を受け入れようと真剣に考えました。しかし、やはり私は会社を売ることは出来ません!御園社長、ウチと業務提携致しませんか?弊社から御社の商品に使用するシルクレイを独占的に供給させていただく、そういう計画でいかがでしょうか?」

坂本  「買収となりますとかなりの時間と費用を要します。フェリックスの商品にシルクレイを使用することが目的なら業務提携で十分かと…。」

御園 「一度は私も考えました。だがそれが無理なことはあなた方が一番良くわかっているはずだ!」

紘一 「設備のことでしょうか?」

御園 「そうです。シルクレイを作れない現状で業務提携も何もないでしょう!失礼だが、御社の財務体質も気になる。契約を結んだとしてウチの要望通り確実に供給して頂けるんでしょうか?そういったリスクを極力無くすための買収案なんです!」

紘一 「御園社長、ウチを支援していただけないでしょうか?どんな形でも結構です。例えば設備を御社が購入し、それをウチに貸すということでも結構です。考えていただけませんか?」

御園 「その提案には応じかねる。ウチで設備を準備してそちらに生産を委託すると言うならウチがそちらにお金を貸してあげてその返済資金もウチが出す、そういうことになりますよ。そんな面倒なことをするくらいなら最初から買収した方がわかりやすい。簡単だ!」

紘一 「その通りです!ですが私は100年の暖簾を背負ってここにいます。曾祖父の代から受け継いで来た会社をそう簡単に売るわけにはいかないんです!」

御園 「宮沢さん、陸王を継続したいんですよね?」

紘一 「はい。なんとしても陸王を成功させたい!それが御社の傘下に入れば簡単なのかもしれない。」

御園 「そう、簡単なんです!」

紘一 「その簡単さが私を迷わせるんです!たかが足袋ですが100年作り続けてきた。こはぜ屋の暖簾はそんなに軽い物じゃない!」

御園 「過去に縛られてどうするんですか?いいですか宮沢さん、暖簾だの老舗だのと言えば耳に心地いい響きかもしれませんがそこに価値があるとすれば、現時点でも成長し発展してるという会社の実態があってのことですよ!だからこそウチの傘下に入ってその伝統を守っていけば良いじゃないですか!買収後も宮沢さんが社長を続投し足袋製造も継続して良いと申し上げましたよね?それじゃダメなんですか?」

紘一 「ありがたいお言葉ですが、御園社長、それはどの程度本当なのでしょうか?いずれシルクレイより優れた素材が誕生するでしょう。その時です!時代遅れになったシルクレイを持つこはぜ屋の位置づけはどうなるのでしょう?目標の利益率を達成出来ない足袋部門を抱えたお荷物会社としていっそ潰してしまえ!売却してしまえ!そんな事にはなりませんか?」

御園 「先のことなんてわかりません。そうならない様に利益率を上げるよう努力と工夫をするのが企業経営でしょ!?」

紘一は坂本を促し資料(フェリックスグループ買収企業リスト)を出してもらう。

紘一 「今日の提案をすることにして坂本さんが徹夜で御社のことを調べてくれました。御社は僅か数年の短期間で急成長を遂げ、世界に通用する大企業となった。御園社長の経営手腕はお見事です!しかしそのグループのほとんどは買収によって子会社化した物ですよね?何かが足りない、じゃぁ買って来い!それがあなたのやり方だ!そうやって必要な物を飲み込んでフェリックスは大きく成長して来たんでしょう。しかしこの中には買収前とは全く様変わりしてしまった企業や、既に期待された役割を終えて清算されてしまった企業も少なくない。」

御園 「それが私の責任だと?」

紘一 「そうは言いません。あなたにとって買収は日常でも、ウチにとっては一世一代の転機で、社員達の人生を左右する大問題なんです!こはぜ屋をこの中の一つにするわけにはいかないんです。小さな会社ですがそれでも世の中にはウチの足袋を気に入って履き続けてくれているお客様がいるんです。ランニングシューズ業界への進出を目指してはいますが、足袋作りをやめるつもりはありません。それを忘れてしまったらこはぜ屋はこはぜ屋ではなくなってしまう!利益は小さくともウチはそうやって生き続けてきました。社員の中には第二の家だと言ってくれる者もいる。値段のつかない物にも価値はあるんです!こはぜ屋100年の暖簾に値段を付けることなんて出来ません!!

御園 「どうやらお互い経営に対する考え方が違うようだ。」

紘一 「当たり前ですよ!急成長を遂げた御社と、10年が1日がごとく生き延びて来た弊社が同じであるわけがない!だからこそ、買収ではない方が良いと思うんです!御園社長、ウチを支援していただけませんか!?シルクレイの供給はしっかりとさせていただきますから!」

そう言い紘一と坂本は頭を下げる。

御園 「融資なんてつまらない!それなら独自で開発した方がマシです!」

紘一 「確かにそれが出来れば御社にとってはベストでしょう。ですが、出来るんですか?

御園 「もう結構!!この話は無かったことにしましょう!!御社が大変なチャンスを逃したことになりますよ!後悔してもその時は遅い!!

御園は怒って席を立ちドアへと向かう。

紘一 「馬鹿にしないでくれ!!確かにウチには設備投資をする資金は今は無い!ですが、シルクレイを供給して欲しいというニーズは他にも必ずあるはずです!あなたがここまで欲しがったことがその何よりの証明だ!それを我々は必ず探し出します!その時後悔されるのはあなたの方だ!!

山崎が全治半年の怪我で世界陸上の出場が絶望的だ、陸連はその空いた枠への有力候補を次の豊橋国際マラソンの優勝者と考えているらしい、茂木!豊橋国際に出ろ!!お前の走りで世界への切符を掴んで来い!!と言う城戸。茂木は強い決意を込めた目をして頷く。

《次回に続く》

「陸王」最終話(12月24日放送) 予告

「この陸王は僕たちが茂木選手をずっと応援してるっていう証なんです!!」(大地)

「これからが本当の闘いだ!」(紘一)

「今の俺はこの陸王を履くことは出来ません!」(茂木)

採用アシスタント

新規事業はあきらめない、しかし買収も受け入れない。第三の提案を持っていく事は牽引者としてのあるべき姿、立派な回でした。単に数字だけで決断をしないのが日本人たるところ、最終回どのような落としどころになるか楽しみです

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